「結婚って長い拷問」とこぼす愚痴に、どれだけの夫婦が共感を覚えるだろうか。1月10日よりフジテレビ系で始まる新ドラマ「最高の離婚」(午後10時~)で、痴話ゲンカの絶えないアラサー夫役を演じている俳優、瑛太のセリフだ。
厚生労働省の人口動態統計(年間推計)によると、2012年の離婚件数は対前年比1000組増の23万7000組だったという。婚姻件数で割った「離婚確率」は35.4%で、結婚したカップルの実に3分の1以上が離婚する時代になった。
「貞女二夫に見えず」は今や昔のことわざ。これだけ離婚件数が増えると、中には揉めずにあっさりと別れる夫婦もいるのかと思いきや、現実はドラマのようにコメディーでは済まされない。
「離婚はデスマッチと一緒。たいがいの夫婦は徹底的に相手を叩きのめして精根尽き果てるドロ沼離婚です」と話すのは、夫婦問題研究家の岡野あつこさん。では、「最高の離婚」とはどんな別れ方なのか、聞いてみた。
――ずばり、最高の離婚とは?
岡野:別れてからでもお互いに応援し合い、困ったときには相談に乗ってもらえるような間柄になることだと思います。たまには食事を一緒にしたり、新しい彼氏や彼女を紹介し合ったり……そんな友達関係にまで成長できたら最高です。
――そこまでの円満離婚は難しい。
岡野:自分の思いとは裏腹で、どうしても不満を抱いたままどちらかが歩み寄らなければ成立しないのが離婚です。でも、お互いに過去の反省をして成長しないと憎しみ合うだけ。その後の人生や次のステップ(再婚)もうまくいきません。
――成長するとは?
岡野:いいことも悪いことも含めて、それまでの結婚生活のすべてが思い出。「ありがとう」と相手に敬意を表するぐらい別れ際をキレイにすることが肝心です。もちろん、慰謝料などお金の支払いもキレイに済ませたいですね。「しばらく自活するのは大変だろうから、もう少し家に居てもいいよ」なんて、先回りして困らないように考えてあげられる度量があってもいいでしょう。
――岡野さんがカウンセリングした夫婦の中に、そんな「最高の離婚」をしたケースがあるのか。
岡野:ありますよ。女性のほうから別れ話を切り出したのに、男性は不満をこらえて慰謝料も少しだけ余分に払ってあげるなど誠意を見せたら、後に復縁したカップルもいます。
――女優の広田レオナと俳優の吹越満が復縁するなど、ちょっとした復縁ブームだ。
岡野:お肉屋さんや八百屋さんやブティックなど、商店の経営も同じ。「なんだ買わないのかチェッ!」みたいな顔をしていると、他の店で買われてしまいますが、「どうぞ見るだけで構いませんよ」と誠意ある応対をすると、それを思い出して結局お客さんは戻ってきますよね。離婚も、「やっぱりあの人が最高だった」と思わせるほどキレイな別れ方をすれば、戻ってくるケースだって十分あるのです。