今年もインフルエンザの季節がやってきた。昨年12月23日までの1週間に、全国およそ5000の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は前の週の1.9倍の1万977人を記録。
多くのドラッグストアでインフルエンザ対策のコーナーが設けられているが、中でも今、大ヒットしているのが、置くだけで除菌する『クレベリン ゲル』(大幸薬品株式会社)だ。
『ツルハドラッグ』高田馬場店の薬剤師・星野陽子さんはこう説明する。
「従来のインフルエンザ対策の中心だった抗菌マスクや消毒用エタノールに代わり、今年一番人気の商品が『クレベリン ゲル』です。置くだけで室内に漂うウイルスや細菌を99%除菌してくれるというもので、年配のかたから小さいお子さんがいるご家庭までたくさんの人が購入されます」
もともとは業務用として公共機関や医療施設、外食産業やホテルなどで使用されてきた同商品。2008年に薬局でも家庭用として販売されると、インフルエンザの予防に効果があると人気を集め、今年は多くのドラッグストアで売り切れが続出しているという。
日本防菌防黴学会会長の高麗寛紀徳島大学名誉教授が説明する。
「この商品の主成分は、殺菌効果の高い二酸化塩素。製品本体から気体となって出る二酸化塩素が空気中のウイルスや菌に付着し失活させるという仕組みです」
こうした二酸化塩素を使った商品は置くだけのタイプだけでなく、下の囲みのようにスティック状のものやスプレータイプ、ほかにも首にかけたり、鞄などに付けて携帯できるものもある。
さらに期待されるのが、インフルエンザとともに猛威をふるっているノロウイルスへの効果だ。
昨年9月に行われた「日本防菌防黴学会」で、前出・大幸薬品が、『クレベリン ゲル』はノロウイルスや院内感染の原因となる黄色ブドウ球菌などにも効果があることを示す実験結果を発表したのだ。
「まだ論文として出されたものではなく、実際の効果についての検証はこれからです。ノロウイルスは基本的には接触感染。二酸化塩素が机や手すり、体などの感染経路に付着したウイルスを失活させることができるなら予防効果は大きいかもしれません。
ただ忘れてはいけないのは、部屋の乾燥に気をつけ、外から帰って来た時には手洗いうがいをきちんとし、食べ物には火を通す。そうしたことを守れば、インフルエンザもノロウイルスも実は99%予防することができるんです」(前出・高麗名誉教授)
※女性セブン2013年1月24日号