憲法改正を掲げた自民党の安倍晋三政権が始動し、憲法改正の議論が盛り上がることが予想される。そこで自民党の憲法改正草案に対する、漫画家の小林よしのり氏の意見を紹介しよう。
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わしは安倍晋三を全く評価しないが、もし本気で改憲しようとするなら、それは支持する。自衛隊は国軍にした上で自主防衛できるところまで憲法で持っていく必要があるからだ。
一方、わしが現行憲法で唯一評価しているのが1条だ。自民党の改憲草案には「天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴」とあり、「象徴」よりも「元首」としての側面が強調されているが、逆ではないか。
天皇が国際的に見て国家元首であることは常識だが、在位中の一時期だけ権力を担うアメリカ大統領などと違い、日本の歴史全体を背負う権威が天皇だ。システム上の用語である「元首」よりも、「象徴」という言い方こそが相応しい。わしも含め日本人はみな、子供の頃に「象徴って何?」と考えたはずだ。そのことが天皇の深さを考えるきっかけになってきた。
天皇や日の丸・君が代は、この国の歴史や慣習が生んだもので、憲法で細かく規定する事柄でない。かつて園遊会で天皇陛下は、全国の学校で国旗掲揚・国歌斉唱を進めていた棋士の米長邦雄氏(故人)に、「強制でなくね」と釘を刺された。陛下自身がそうお考えだということだ。
※週刊ポスト2013年1月25日号