芸能

綾瀬はるか 原爆で亡くなった大伯母の言葉を胸に大河演じる

 NHKの新大河ドラマ『八重の桜』の舞台となるのは福島県の会津地方。会津地方は、福島第一原発事故での放射能による直接的な被害こそなかったものの、風評被害のダメージは大きく、観光客が4割近く減り、一部の農作物の出荷も例年より約3割減少した。このドラマの会見で、綾瀬は、福島への思いをこう語っている。

「苦しみを乗り越え、前を見て歩こうとした八重の生きざまを見てもらうことで、被災地の力になれたら」

 福島の原発事故やその風評被害も含め、「放射能に苦しむ人たちの力になりたい」という思いを綾瀬が人一倍強く持つのは、彼女が広島生まれであることに関係している。

 綾瀬の大伯母(祖母の姉)は、1945年8月6日に広島に投下された原爆で亡くなっているのだ。

 2005年、綾瀬は戦後60周年特別企画のドキュメンタリー番組で、広島の実家を訪れ、祖母の話に耳を傾けた。番組では、こんなエピソードが明かされる──ある日、綾瀬の祖母は、大伯母から頼まれごとをされた。

「お姉さんが広島に行くのにね、“洋服がいるんよ、縫ってくれ”と私に言ってね。それで縫ってあげたのよ、ブラウスをね。そしたら、それを喜んで着て行ったんよ。それが最後じゃった。お姉さんと一緒におったのは」

 その数日後──8月6日朝、大伯母は祖母が縫ったブラウスを着て、空襲を受けた街を整備する作業のために市の中心部を訪れていた。そして作業を始めようとした矢先の8時15分、原爆が投下された。祖母は、大伯母の写真を見ながら、こう続けた。

「ちょうど私はね、家で休んどったのよね、朝ね。そしたらドーンいうてね。重量感のある鈍い音でね、天井が落ちたのかしらと思うたね」

 街は辺り一面、焼け野原と化していた。結局、大伯母の遺体を見つけることはできなかったという。祖母から初めてその話を聞いた綾瀬は、溢れる涙を止められなかった。祖母は、「私も長く生きておらんから。あんた、忘れんようにね」と言うと、こんな言葉を綾瀬に託した。

「戦争なんか起こさんように、女性がしっかりせなダメなんよ。女性の力で戦争を起こさんいうことをせなダメよ」

 一瞬にして多くの命を奪った原爆の恐怖、さらには命はとりとめても放射能で体をむしばまれ苦しむ人たちの姿を、綾瀬の祖母は亡き“お姉さん”の無念さとともに綾瀬に伝えたのだ。

※女性セブン2013年1月24日号

関連記事

トピックス

九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
“鉄ヲタ”で知られる藤井
《関西将棋会館が高槻市に移転》藤井聡太七冠、JR高槻駅“きた西口”の新愛称お披露目式典に登場 駅長帽姿でにっこり、にじみ出る“鉄道愛”
女性セブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン