政府の地震調査研究推進本部が昨年12月21日、「全国地震動予測地図」(以下、「地図」)を公表した。2011年版は東日本大震災の影響で見送られたが、2009年、2010年にも発表されていた。そして今回の予測地図は、「3・11」を機に大幅に見直されたものだという。
30年以内に震度6弱以上の地震が起きる確率が全国で最も高かったのは静岡で89.7%。次いで津の87.4%と、「いつ発生してもおかしくない」状態なのだ。これら3つの地震は、静岡県沖から四国・九州にかけて延びる海溝(トラフ)で発生する巨大地震で、「南海トラフ地震」とも総称される。
「どれかひとつでも発生してしまうと、連動してほかの震源域でも地震が起きる可能性があり、最も被害が大きいともいわれています」
というのは武蔵野学院大学特任教授(地震学)の島村英紀さん。
昨年8月に内閣府の有識者会議で発表された南海トラフ地震の被害想定は、死亡者数が最大で東日本大震災の死者・行方不明者の17倍にあたる32万3000人。沿岸部が小さな湾になっている場所では、東日本大震災をゆうにしのぐ高さ25m以上の津波がわずか1分足らずで押し寄せることもあるという。
また、前出・島村さんは、「予測地図の数値だけで判断してはいけない」と警鐘を鳴らす。
「現段階では、これから起こる地震について正確な予測をすることは不可能です。数字の高い順に地震が起きると考えるのは間違いですし、数字が低いからといって決して安心できるわけではありません」
事実、東日本大震災で震度6強を観測した仙台市は、2010年版の「地図」では震度6弱以上の地震が発生する確率が4.0%とされていた。
※女性セブン2013年1月24日号