体の免疫力UP効果において、今いちばん注目されているのが“乳酸菌”だ。そのきっかけとなったのが、「1073R-1乳酸菌(以下、R-1)」を使用した「明治ヨーグルトR-1」。このヨーグルトを継続摂取した小中学生のインフルエンザ累積感染率が低いことが発表されたことで、2012年1月から爆発的にヒット。購入数制限を設けるスーパーも相次いだほどだ。
ひと口に乳酸菌といっても100種類以上が存在する。乳酸菌が腸内環境にいいことは知られているが、その“能力”にはいまだ未知数な部分もあり、各メーカーが独自の菌の発見や製法の開発にしのぎを削っている。
そんななか、従来とは異なるアプローチで、人の体の免疫力を高める乳酸菌があることが発見された。プラズマ乳酸菌を研究するキリンで、技術広報を担当する橋本佳和さんはこう話す。
「プラズマ乳酸菌には、免疫力を高め、インフルエンザウイルスなどへの感染を予防する作用があることがわかりました」
プラズマ乳酸菌(正式名称ラクトコッカス・ラクティス)は、主にチーズやヨーグルトの発酵に使われる乳酸菌で、その存在は以前より知られていた。この乳酸菌が、人の体内でウイルスの感染を防いでいる免疫細胞の“司令塔”プラズマサイトイド樹状細胞(以下、pDC)を直接活性化させるということを発見したのだ。
pDCの、一体何がすごいのか。ウイルスが人体に侵入すると免疫機能が働き、ウイルスを認識して排除しようとする。実際にこのウイルスを攻撃したり、防御したりするのは、多数の免疫細胞なのだが、その働きを統括し、効率よく指令を出しているのが、pDCなのだ。
これまで個々の免疫細胞を活性化させる乳酸菌は発見されていたが、このpDCを乳酸菌で活性化させることは難しいと考えられていた。
「しかし、ごくまれにpDCを活性化させる乳酸菌があることに気づきました。このpDCを直接活性化させるのが、プラズマ乳酸菌の特徴なんです」(橋本さん)
普段のpDCは、“眠っている”ような状態なのだという。
「ウイルスを見つけて活性化すると、ニョキニョキと樹状の突起を出すのですが、ウイルス侵入からこの活性化までのタイムラグにより、感染・発症を防げないこともあります。プラズマ乳酸菌で常にpDCを活性化させておくことでウイルスの侵入を常に警戒することができ、体の免疫システムを常に“臨戦態勢”にしておくことができるのです」(橋本さん)
※女性セブン2013年1月31号