今年、日本サッカー界にとって最大のイベントは、W杯のアジア最終予選だ。2014年のブラジルW杯出場へ向けてどのような戦いを見せてくれるのか、注目が集まる。そんな日本代表の戦い振りに欠かせないと一部の人々の間でいわれているのが、松木安太郎氏(55)の絶叫解説だ。
松木氏は、これまでサポーターの立場に立った“応援解説”のような形で視聴者を鼓舞。日本が劣勢に立てば「絶対にあきらめちゃいかん!」と勇気を与え、ゴール際で危ないシーンになると「(スローVTRを観ながら)入ってない、入ってない。ぜんぜん入ってない!!」と視聴者の気持ちを代弁してきた。
だが最近、その松木氏を脅かす新たなスター解説者候補が台頭しているという。松木氏のヴェルディ川崎監督時代、選手として2連覇に貢献した武田修宏氏(45)である。
1月12日の全国高校サッカー選手権準決勝、京都橘対桐光学園戦(日本テレビ系で放送)を解説した武田は、「うわ~、いいパスだ!」「うわ~、入ったー!」「いや~、今よく戻ったなあ~」「よく守った、よく守った!」などと感情を露わにし続けた。
「母校でもなく、日本代表戦でもない。それなのに、あれだけ感情移入できるということは、“ポスト松木安太郎”の一番手と言えるでしょう」(テレビ局関係者)
たしかに、文字に起こすと、“絶叫神”松木安太郎氏に近づいているように感じさせるが、根本的な部分で、武田氏は松木氏の域には達しないという見方もある。
「武田さんは低くこもる声なので、松木さんの“神絶叫”には遠く及ばない。松木さんの声は大きくて、かつ高いので、通りやすい。さすがは、元日本代表のDFといったところでしょうか。選手時代から大声でチームを鼓舞し続けてきた松木さんの才能が、解説者として開花しているのです」(別のテレビ局関係者)
昨年、ロンドン五輪の女子サッカー準決勝で「いけー、大儀見!」などと叫び、“新・絶叫神”の声も挙がった長谷川健太氏(元清水エスパルス)は、今季からJ2に降格するガンバ大阪の監督に就任した。松木氏の定位置を脅かすスター解説者候補として、武田氏がどこまで迫れるか、一部の業界関係者は注目しているという。