1月10日に第2子となる長女を出産した小雪(36才)。おめでたい知らせだったが、それ以上に世間を驚かせたのは、出産した地が韓国だったということだ。しかも、韓国の産後ケア施設「産後調理院」を利用したと大きな話題となっている。
小雪のように韓国で出産すると、保険や費用はどうなるのだろうか。国内の出産では通常分娩が保険適用外、帝王切開が保険適用となる。通常分娩は平均42万円、帝王切開はこれより安いこともあれば、手術の内容などによっては50万円以上になることも。ただ、子供を産むと、加入している保険組合から出産一時金として一律42万円が支給されるため、トータルの負担額は減る。
一方、日本人が韓国で出産すると通常分娩、帝王切開とも保険適用外で全額自己負担。
「費用は、病院によって違いますが、通常分娩は平均170万ウォン(約14万円)、帝王切開は平均230万ウォン(約19万円)です。外国で産んでも出産一時金は支給されるので、いずれにせよ韓国で産んだほうが日本より安くなります」(産後調理院に詳しい韓国人ジャーナリスト)
ちなみに国籍はというと、
「韓国で出産しても、両親が日本人なら子供は日本国籍です。夫婦どちらかが韓国人だと、子供は二重国籍になり、日韓両国の役所に届ける必要があります」(前出・韓国人ジャーナリスト)
出産は人生の一大事だけに、母体の健康を考えたら、韓国出産もひとつの選択肢ではあるが、実際には問題もある。
まずは言葉の壁。小雪のようなセレブ向け産後調理院には日本語が話せるスタッフがいるが、多くの調理院では日本語が通じない。
さらに、調理院によっては衛生面に不安があるともいわれる。2006年にはソウル市江西区の産後調理院で、新生児11人が集団で腸炎にかかる院内感染があったほか、新生児の死亡事故が発生し、訴訟問題に発展したケースもあるという。
「韓国では調理院の口コミサイトが山ほどありますが、あちこちで“あそこは保育室の殺菌消毒がイマイチだった”といった書き込みが見られます。生まれたばかりの赤ちゃんは、母体から免疫力をもらっていますが、長期間集団生活をすると、感染症の危険も大きいんです」(韓国のある産婦人科医)
かつて産後調理院はほとんど制約もなく運営できたが、こうした感染事故の多発を受けて、韓国では2006年8月に法律が改正され、その実施方法、従事してよいケア行為の範囲、調理院に対する行政処分基準(営業停止、罰金)などが定められた。同時に、開業時に役所への届け出が必要となる申告制に変わった。
「それでも、開業にあたって医療関係の資格が必要なわけではなく、いまだに医師や看護師の資格を持たない業者が3割にものぼるといわれています。いざという時に運営者が医療の専門知識を持たない施設には不安が残ります」(前出・韓国人ジャーナリスト)
※女性セブン2013年1月31日号