1996年に中日入団後、近鉄、横浜、巨人と4球団を渡り歩き、2009年から3年間韓国でプレーした門倉健氏(39)が昨年暮れに引退を表明した。昨季オフには楽天や日本ハムのテストを受けたが、入団には至らず、11月に行なわれたトライアウトを区切りに、現役引退を決意。今年からは、韓国のサムスンで投手コーチを務める。
引退後も、野球にかかわれる人間はほんの一握り。門倉氏は野球人として幸せな人生を送っているという見方が大半である。まして、2008年以降、韓国野球界には26人もの日本人コーチが誕生しており、今年から千葉ロッテで監督を務める伊東勤氏のように、そのうち12人が日本球界に復帰している。現役引退後は「韓国球界コーチ経由、日本球界コーチ行き」という新たな道が開けているともいえるだろう。
だが、この選択には心配の声が上がっている。あるスポーツライターは「そうはいっては、日本球界復帰の数は半数にも満たない」と前置きをし、こう危惧する。
「その12人の内訳を見てみると、伊東勤さんは元西武監督ですし、伊勢孝夫さん(現ヤクルトコーチ)は引退後にヤクルト、近鉄、巨人などで長きにわたりコーチを務めた超実力者。正田耕三さん(元オリックスコーチ)は岡田彰布監督(昨年までオリックス)と、関川浩一さん(現阪神コーチ)は和田豊監督(阪神)との強固なつながりがあったから、日本に戻っても球界に復帰できている。
要するに、強力なコネか、圧倒的な実力や知名度がないと、日本に帰ってきてもすぐオファーがあるわけではない。日本のコーチ人事はコーチとしての実力よりも、人脈や派閥といった、いわゆる“縁故採用”が非常に目につきますからね。門倉さんの場合、現役時代に移籍を繰り返しているのもマイナスポイントかもしれません」
門倉氏に、韓国球界コーチ経由での日本球界コーチへの道が開けるか。