投資情報会社・フィスコ(担当・村瀬智一氏)が、株式市場の1月15日~18日の動きを振り返りつつ、1月21日~25日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は上昇となったが、閣僚発言によって円相場が大きく振れるなか、先物市場での仕掛け的な商いが加わって値動きの荒い相場展開だった。金融緩和期待を背景とした円安が引き続き追い風となるなか、連休明け15日の日経平均は2011年2月17日高値10891.60円を上回って始まり、一時10952.31円まで上げ幅を広げる局面をみせた。
しかし、甘利経財相が「過度の円安は国民生活にマイナス」などと述べたと伝わると、為替相場は円高に振れる展開に。その後も麻生財務相や石破幹事長などによる「円安デメリット発言」が相次ぐと円安基調が反転。輸出関連を中心に幅広い銘柄に利益確定の動きが強まり、16日の日経平均は278.64円安に。翌17日には10432.97円まで下げ幅を広げる局面もみられた。
とはいえ、今週の日銀の金融政策決定会合では、政府との共同文書でインフレ目標を2%に引き上げるほか、追加緩和に踏み込む可能性が期待されており、押し目買い意欲は強い。売買代金は連日で2兆円を超える流動性相場が続くなか、週末には安倍首相発言によって円が一段安に。ドル・円が2010年6月以来の90円台に乗せ、追加緩和への期待から日経平均は週半ばの調整部分を吸収する大幅上昇をみせた。
今週は21~22日の日銀の金融政策決定会合が注目される。政府との「共同声明」という形で取りまとめ、日銀は中期的に2%の物価上昇率を目指して金融緩和を進める一方、政府は成長戦略や財政の健全化に取り組み、一体となってデフレ脱却を目指すことが盛り込まれる見通し。
また、日銀は追加の金融緩和を実施するとの観測が広がっており、約9年半ぶりの2回連続緩和となる。物価目標を2%に引き上げるとともに、達成が見通せるまで無制限に国債買い入れなどの金融緩和を続けることを検討すると報じられており、市場の期待は相当大きいであろう。
そのため、金融政策決定会合の結果を受けて、いったんは達成感が意識されることになろう。期待通りの内容としても、一先ず利益確定の流れに向いやすい。このところの主要銘柄の値動きをみても、トヨタ<7203>などは高値圏での保ち合いが続いている。政府・日銀による強力な金融緩和政策を背景としたデフレ脱却への期待から押し目買い意欲は強いとみられる。一方、昨年11月からの急ピッチの上昇によって、利益確定の動きも出やすいところだろう。
また、米国に続いて日本でも決算シーズンに入る。足元の円安の流れから業績見通しに変化がみられるかを見極めたいとするムードが高まりやすい。物色についてもセクターから個別対応にシフトしてくると考えられる。また、より出遅れているセクターや銘柄への循環物色がみられそうである。
セブン&アイ<3382>、オリエンタルランド<4661>など内需関連が昨年来高値を更新している。円安メリットから内需や出遅れ循環によって、日本全体の底上げが意識されている。