人気絶頂の中、わずが4年で解散してしまったザ・タイガース。メンバー全員が還暦を過ぎた今、結成当時のメンバー5人でもう一度ステージに立つことになった。
沢田研二(64才)がザ・タイガースの再結成を宣言したのは、1月6日のこと。渋谷公会堂でのワンマンライブで、
「ザ・タイガース。ついに発表の時が来ました。オリジナルメンバーでやることに全員の気持ちがひとつになった」
と約2000人のファンの前で、そう約束した。
オリジナルメンバーとは、1967年にデビューした時の初期メンバーで、沢田研二(ボーカル/愛称=ジュリー)、加橋かつみ(リードギター兼ボーカル/トッポ)、森本太郎(ギター/タロー)、岸部一徳(66才/ベース、サリー)、瞳みのる(66才/ドラム、ピー)の5人。
この5人で、今年12月3日の日本武道館を皮切りに、同月27日の東京ドームまで、全国7都市8公演を行う。
ザ・タイガースといえば、昨年1月24日、沢田のライブツアー最終日に、加橋の後任メンバーの岸部四郎(63才)を含めた後期メンバーの共演が実現している。
このとき、加橋だけは参加しなかった。
「沢田さんは常々、周りに“全員が揃ってこそ復活だから”と語っていました。だから、その時は『復活コンサート』とは呼ばず、あくまでも元メンバーのゲスト出演という形をとったんです」(音楽関係者)
1967年、ザ・タイガースは人気絶頂のなかで、メンバー間に亀裂が入り始めていっていたのだ。
「彼ら自身には“ミュージシャンとして認められたい”という思いがありました。ところが、事務所は沢田を前面に押し出したアイドル路線で売り出していったんです」(前出・音楽関係者)
曲も、服装も、CMもすべて事務所がイメージを決めて、それに従うだけの日々が過ぎていった。メンバーのなかで、その方針に特に反発をしたのが加橋で、彼の目には、沢田が“事務所のいいなり”と映っていたようだ。以来、加橋と沢田の間には深い確執が生じていった。
1969年、ついに加橋は脱退。代わって四郎が加入するが、一度亀裂が入ったメンバーの気持ちを修復することは難しかった。今度は瞳が脱退を宣言し、1971年1月24日、日本武道館でのコンサートを最後に、デビューからわずか4年で解散してしまった。
しかし、加橋だけが不参加だった昨年1月のライブ終了後のことだった。
「コンサートが終わって数日した後、沢田さんは“やっぱりオリジナルメンバーでもう一度やりたい”と、改めて思ったそうです。それで、沢田さんは、勇気をふりしぼって、加橋さんに“会えないか?”とメールを送ったんです」(前出・音楽関係者)
加橋は、ほかのメンバーからも説得され、沢田と会うことを了承。そして再会したふたりは、とことん話し合ったという。
「“自分がタイガースにいたせいで、不快な思いをさせて済まなかった。トッポに歩み寄る姿勢を見せなかった”と沢田さんがまず、頭を下げたそうです。それから沢田さんは、“皆が揃ってこそザ・タイガースなんだ。全員が揃ってザ・タイガースをやるのがオレの夢なんだ”と熱く語ったそうです。その思いに、これまで抱き続けたわだかまりが消え、加橋さんもついに心を開いたようです」(前出・音楽関係者)
44年という長きにわたる確執をとかした夜だった。こうしてメンバーは、今年12月の復活コンサートに向けて動き出した。メンバーの森本が言う。
「もう4、5回は全員で顔を合わせています。時間があれば、打ち合わせの後に、みんなで食事に行ったりもしています。昔なら、集まると音楽か女の子の話ばかりでしたけど、今は食べ物に注意しようとか、健康の話ばかり(笑い)。昔の遊び仲間に戻った感じですよ」
※女性セブン2013年1月31日号