「眼」や「歯」などシニア世代が抱える体の不調を特集する「ヘルスケア・レポート」。今回のテーマは「腰痛」だ。
日本人の8割が一生に一度は経験するという疾患は、放っておけば歩くのが億劫になり、さらに筋力が低下して悪化するという悪循環に陥りかねない。アクティブな生活を取り戻す最新治療を報告する。
働き盛りの40~50代に多いのが椎間板ヘルニアだ。デスクワークや運転など、座り続ける仕事の男性に多い。
Aさん(45歳)は都内の金融機関の調査部でほぼ一日中パソコンに向き合っている。5年前から、頑固な腰痛に悩まされてきた。市販の湿布でしのいできたが、仕事が深夜にまで及ぶ時には座っているのも辛いほどの痛みが出るようになり、イスから立ち上がる時にも激痛が走る。
ようやく病院の整形外科を受診したところ、腰椎の椎間板ヘルニアだと診断された。
腰椎椎間板ヘルニアは椎間板(椎骨と椎骨の間にありクッションの役目をする)が飛び出して、神経を圧迫する病気だ(ヘルニアは「出っぱり」の意味)。
腰痛の他にも下肢に痺れや痛みを感じたり、脚に力が入りにくくなったりする。喫煙や姿勢、遺伝なども影響するといわれる。
数多くの腰痛患者を診てきた吉田祐文・那須赤十字病院整形外科部長はいう。
「一般的には、痛みが出たらコルセットで固定したり、消炎鎮痛剤を服用したり、腰を温めたりして様子を見ます。そうした治療でそのまま治ってしまう人もいますが、悪化する人もいます。対症療法で仕事を続けられるようなら問題ありませんが、仕事や日常生活に支障が出るほど悪化する場合には手術を検討します」
※週刊ポスト2013年2月1日号