適量が大事だとわかっていても、「酒は三献に限る」をどうしても守れず、飲み過ぎて後悔してしまうもの。酒を酌み交わして生まれる縁もあれば、壊れる絆もある。各界著名人が迷惑をかけた“あの人”を思い出しながら語った「泥酔録」には、酒を愛し、人を愛する「人生の滋味」が溢れている。
ここでは、ラッシャー板前さんが妻に謝りたいと語る出来事を紹介しよう。
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僕は酔うと、どういうわけか几帳面になってしまうんです。師匠のたけしさんと飲むときだって、たけしさんの箸を直したり、おしぼりでテーブル拭いたりしてます。テレビやDVDのリモコンがあったら、等間隔に並んでないと納得できなくなったりして……。
「お前、いい加減にその癖を直せよ」
たけしさんは、いつも苦笑してらっしゃいますけど、こればっかりはどうにもならないんです。
先日も、マネージャーの送別会があって深夜3時くらいに帰宅しました。マンションの玄関にあるポストにチラシが入っていて、それをキチンと処分したくて仕方がない。四隅を揃えて、折りたたんでゴミ箱に捨てようとしたとき、勢いあまってエントランスの鉢植えに頭から突っ込んでしまいました。
鉢は粉々に砕け、フロアは土だらけ。ふとガラス窓をみたら、血がだらだらと流れているんです。部屋に戻ったら、起きてきたカミさんが驚いて腰を抜かしてしまいました。
医者を探すにも深夜ですからね。応急処置だけして、その日は寝てしまいました。酔ってるから、痛みをあまり感じなかったんですよ。
翌朝に病院へいったら先生が驚いてました。
「あと1センチずれていたら失明するところですよ」
結局3針縫ったんですが、マネージャーの送別会が、危うく僕のタレント人生の送別会になるところでした。
※週刊ポスト2013年2月1日号