昭和の名横綱・大鵬(本名・納谷幸喜)さんが1月19日、心室頻拍のため、この世を去った。享年72だった。
1971年、31才の若さで現役を引退。名誉ある一代年寄として大鵬部屋を興した彼は、相撲界のために尽力しようという気概に溢れていた。しかし、親方となった大鵬さんを待っていたのは、“不遇”の連続だった。
最初の受難は36才のとき。朝、洗顔しようとすると、体が重く、目の前が真っ暗となり、倒れた。現役時代から塩辛や塩鮭など塩分の高い食べ物を大量に摂取し、1日5升(9リットル)の酒を飲む生活のツケが回り、脳梗塞を発症したのだった。
「一命こそとりとめたものの、リハビリは壮絶を極めました。歩くこともできず、そのころ147kgあった巨体で四つんばいになって入院先の病院の床をはいずり回る。その姿を見た他の患者から“あの大横綱がこんな惨めな姿をさらすとは…”と指差されることもあったそうです」(大相撲関係者)
それでも、2年に及ぶ厳しいリハビリの甲斐あって、左半身にマヒが残ったものの、生活に支障をきたさないまでに回復。大鵬部屋の親方として見事復帰し、後進の指導を続けることができるようになった。
「大鵬さんは思うように動かない体を引きずって、地方巡業にも足を運び続けました。年に4か月は家を空ける多忙ぶりでした」(前出・大相撲関係者)
動かぬ体をムチ打つように相撲道に邁進していた1991年、今度は“家庭内”で問題が勃発する。妻であり大鵬部屋のおかみさんである芳子さん(65才)の“不倫”疑惑が報じられたのだ。
「部屋の若手力士と情事を重ねているというショッキングな内容でした。リハビリ中は午前4時に起床して献身的に付き添ってくれた妻の裏切りに、大鵬さんは疑心暗鬼になりました。巡業先からしょっちゅう自宅に電話をかけ、家にいるときも妻の姿が見えないと捜し回る。やがて自宅に盗聴器を設置して電話の盗聴までしたこともあったそうです。晩年には仲直りしたようですが、安泰の夫婦関係ではありませんでした」(スポーツ紙記者)
病魔と私生活で心身がボロボロになりながらも相撲協会の要職を歴任し、2005年に協会を定年退職した。
※女性セブン2013年2月7日号