1月19日、心室頻拍のためこの世を去った、昭和の名横綱・大鵬さん(享年72才・本名・納谷幸喜)。脳梗塞や妻の不倫疑惑など、現役引退後は不遇の連続だった。2008年には自らロシアからスカウトしてきた力士・露鵬(ろほう)の大麻使用が発覚した。
「大鵬さんは“否認している彼を最後まで信じる”と擁護したものの、露鵬は相撲協会を解雇されました。大鵬さんは“助けてやれなかった”と心を痛めていました」(スポーツ紙記者)
精神的に苛まれる事態がさらに続く。2010年、今度は婿養子である元大嶽親方の野球賭博への関与が発覚し、相撲協会を解雇されてしまうのだ。
「後ろ盾になってかわいがっていた彼の不祥事に大鵬さんは激怒しました。大嶽親方に直接“娘と別れてくれ”と伝え、離婚させたんです」(前出・スポーツ紙記者)
華やかな現役時代から一転、親方となってからは数多の災厄が降りかかった大鵬さん。それでも彼にはただひとつ生きがいがあった。
「支えはお孫さんでした。元大嶽親方との離婚後は三女が子供の親権を持っていたため、孫との関係は続いていたんです。三女と元大嶽親方の間に生まれた男の子4人の名前にはすべて大鵬さんの本名から取った“幸”の字が入っているんですが、そんなお孫さんたちを大鵬さんは溺愛し、自ら怪獣役を演じてウルトラマンごっこをしてよく遊んであげていました」(大鵬さんの知人)
そんな孫たちは現在、プロレスの道に進んだ長男(18才)を除く残りの3人が力士を目指している。
「次男の幸林くんは中学3年生ながら120kgの巨漢で、同世代では相手にならず、中1のころから相撲の強豪・埼玉栄高校の相撲部に出向いて稽古し、全国中学生選手権にも出場した逸材です。“おれの孫は絶対に横綱になる”が大鵬さんの口癖で、幸林くんを中学卒業と同時に大嶽部屋に入門させようとしていました。
さらに中1の三男・幸之介くんも、小学校時代には、わんぱく相撲の全国大会常連でした。小5の四男・幸成くんもすでに100kg近くあって将来有望です」(前出・大鵬さんの知人)
この世代は同じ中学3年生に佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)の長男・鎌谷将且くんがおり、わんぱく相撲のころから幸林くんと熾烈な優勝争いをしてきた好ライバル。
「大鵬さんは、彼らが中学卒業後に入門すれば、再び若貴ブームのような状況が起こると、ずっと楽しみにしていました」(前出・大鵬さんの知人)
そんな夢を抱いていた大鵬さんは、孫のためにこんな置き土産を残していた。
「2011年に大嶽部屋の建物を新築したんです。“孫の将来のために建て直す”といって、大鵬さんが工事費用の5億円をすべて負担しました。“いつか孫の誰かが大鵬という四股名と部屋を引き継いでくれたら…”という思いを込めてのことだったんです」(前出・大鵬さんの知人)
その遺志を継ぎ、“二代目大鵬”が現れる日を、大鵬さんはきっと天国で待ち望んでいる。
※女性セブン2013年2月7日号