投資情報会社・フィスコ(担当・村瀬智一氏)が、株式市場の1月21日~25日の動きを振り返りつつ、1月28日~2月1日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均はレンジ相場に。日銀の金融政策決定会合に市場の関心が集中するなか、為替市場や先物市場での需給変動に大きく振らされる展開に。21~22日開催の日銀の金融政策決定会合の結果待ちから様子見姿勢が強まるなか、利益確定の流れが先行。
22日の結果公表では「物価安定の目標」と「期限を定めない資産買入れ方式」を導入。「物価安定の目標」については、消費者物価の前年比上昇率で2%とした。「期限を定めない資産買入れ方式」については、物価安定の目標の実現を目指し、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れなどの措置を、それぞれ必要と判断される時点まで継続することを通じて、強力に金融緩和を推進。
金融政策決定会合では無期限緩和の実施は評価される一方、より大胆な緩和策を期待していたのに比べ力不足といった見方も。イベント通過による材料出尽くし感が高まるなか、円安一服もあって利益確定の流れが強まり、日経平均は21日の10941.45円から、23日には10500円を割り込む局面をみせた。相場の上昇をリードしていたセクターは軒並み利食いに押され、個別材料株や内需系にシフトする格好に。
また、米アップルの決算を控えていたことも神経質にさせる要因に。そのアップルは1-3月の業績見通しが慎重だったことなどが嫌気され発表後の時間外で急落。アップルの急落が投資家心理を冷ます格好となり、この影響を受けた日本株市場も利食いを誘う格好となり、24日の日経平均は一時10441.11円まで下げている。
しかし、西村内閣府副大臣の1ドル100円は問題ないとの円安容認発言もあり、為替相場は再び円安傾向が強まり、株式市場も押し目買いの流れに。早期にアップルの悪材料を消化した格好となり、良好な需給関係が確認された。
その後も中国の1月のHSBC購買担当者景気指数(PMI)速報値が予想を上回ったほか、米新規失業保険申請件数が約5年ぶりの水準に減少、欧州や米国のPMI速報値も改善し、世界的に景気が回復するとの期待なども買い安心感に。
週末の日経平均は週半ばまでの下落分を吸収する大幅上昇となり、終値ベースで10900円に乗せ昨年来高値を更新。また、終値ベースでの週足では11週連続(4日大発会も陽線としてカウント)で陽線を形成した。
閣僚の円安容認発言や、日銀が今後も緩和圧力にさらされるとの見方から、円安基調が継続するとの見方が強まっている。政府は24日、経済財政諮問会議を開き、金融政策と物価に関する集中審議を初めて実施。首相は日銀との共同声明を踏まえ、次回4月の集中審議で日銀が目標達成に向けた道筋を提示するよう求めている。次期日銀総裁への関心が高まるなか、4月に向けた円安トレンドが株価を押し上げる格好になろう。
また、米国ではNYダウが2007年10月以来の14000ドルが射程に入り、最高値更新さえも意識されてきている。日経平均はようやく2009年以降のボックスレンジを上放れつつあるところであり、出遅れ感が相当強い状況である。短期的には過熱感がくすぶるだろうが、安倍政権の本気度を背景に断続的な海外勢による資金流入は期待できそうだ。
週明け28日には通常国会が召集され、安倍首相が所信表明演説する。日本経済、震災復興、外交・安全保障、教育の4つの分野が「危機的な状況にある」と位置づけ、危機の突破を呼びかける。また、「金融政策」「財政政策」「成長戦略」のアベノミクス3本柱を進めることを強調する。
その後30日から2月1日までの3日間、衆参両院で所信表明演説に対する各党の代表質問を行う予定であり、発言などに為替相場が変動しやすいとみられ、引き続き為替市場や先物市場での需給変動に大きく振らされよう。
また、先週から第3四半期決算シーズンとなり、今週には主要銘柄の決算が本格化する。通常であれば次第に神経質な相場展開となる可能性があるほか、決算を手掛かりとした個別物色に向うことになる。しかし、政策期待を背景とした円安基調のほか、海外勢による資金流入が観測されるなか、調整局面では押し目買いを意識させそうだ。
そのほか、29~30日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。2月1日には1月の米雇用統計の発表が予定されており、最高値更新が射程に入ったNYダウなど、米国株式相場の動向への関心も高まりそうだ。強いトレンドが続くようだと、日本株市場への追い風となる。また、領土問題で緊張が続く日中問題についても、日中関係を修復させるための動きがみられてきており、中国関連への見直しも期待されるところである。