特定キーワードをネットに書き込むとすぐに削除されてしまうなど、ネット検閲が厳しいことで知られる中国だが、ネットユーザーたちはその規制を巧みにすり抜けているとジャーナリストの柏木理佳氏は指摘する。
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検閲ソフトは特定のキーワードを検出するが、“隠語”で情報が拡散する可能性がある。最近では、地方政府などが建設した豪華ビル・施設や国営TV局のビルなどにネットユーザーが「パンツ」「モモヒキ」「ビキニ」といった別名をつけて、その豪華さを揶揄(やゆ)する書き込みを行なっている。
「デモ」「抗議」などの直接的な用語が使えない中での工夫によってネットを媒介とした団結が生まれる可能性はある。
ネットから巻き起こる運動が中国政府を転覆させるほどの力を持つかはわからないが、6億人の「内なる敵」の暴走を沈静化させるのは容易ではない。軍の治安出動も想定されるわけであり、有事にあたって中国政府の頭を悩ませる存在であることは間違いない。
※SAPIO2013年2月号