厳しい大学生の就職戦線のなかでも、群を抜いて熾烈なのが「女子アナ」の採用試験である。
民放キー局(日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)の昨年の女子アナ採用人数はわずか7人。少ない“枠”を目指し、競い合う就職活動は過酷だ。
女子アナ就活のスタートは早い。ニュースキャスターに憧れ、昨年、キー局入社を目指したAさん(23)はいう。
「私は大学2年生になるとすぐにアナウンススクールに通い始めました」
アナウンススクールは、テレビ局やその関連会社が運営するものと、それ以外の2つに大別される。Aさんが通ったのは後者のほうだった。
「月4回の講義があって、発声練習などアナウンスの基本から、エントリーシートの書き方などの就活テクニックも教わりました。就活の講義はかなり実践的で、スーツの選び方から、メイクの仕方、理想的な髪形まで。講師のカラーコーディネーターが、一人ひとりに似合う服の色やメイクの技を指南してくれました」
受講料は学生にとっては決して安くない。例えば、『TBSアナウンススクール』の「受験対策6か月コース」は、週1回、120分の授業が全20回。入会金と授業料を合わせると、合計17万1000円になる。『日テレ学院』の「アナウンサー養成クラス」は、同じような条件で合計13万8400円だ。
それでも、なかにはスクールを掛け持ちする学生もいるという。高校時代から女子アナになりたかったというBさん(22)もその一人。
「大学に入学してすぐにサークルの『放送研究会』に入り、3年からはテレビ局系のアナウンススクールに通いました。でも周囲から他の局のスクールがいいと聞いたのでそちらにも。短期講座などもあって、月8万円くらいかかったこともありました」
いくらお金がかかってもスクールを外せないのは、その“実績”にある。例えば、『テレビ朝日アスク』出身者には、松尾由美子、小川彩佳らテレビ朝日の女子アナの他にも、元日本テレビの夏目三久、テレビ東京の大橋未歩、松丸友紀、大竹佐知など錚々たるメンバーが名を連ねている。
※週刊ポスト2013年2月8日号