東京・永田町に幽霊屋敷と呼ばれる寂れたビルがある。外壁はところどころ剥がれ落ち、人を寄せ付けない雰囲気さえ漂う屋敷──これは都市伝説ではない。かの社民党本部の入っていたビルだ。
東京五輪が開かれた1964年に前身の社会党が国有地を借りて建てたこの社会文化会館は、老朽化が激しく、一昨年の東日本大震災で外壁が一部落下。昨年の耐震診断で「即時使用制限」が出され、今春、取り壊すことが決まった。
歴史ある場所だけに、この土地に新たに建て直す案も出たが、「建て替えには30億~40億円もかかる。今の党にそんな大金は出せません」(社民党広報担当者)と、1月26日に、首相官邸近くのビルにお引っ越し。
1980年代後半には、土井たか子委員長の「おたかさんブーム」に乗り、200人もの議員が出入り、職員も100人以上と活況を呈していた。その頃修繕費用を積み立てていれば何とかなったのかもしれないが、残念ながらその考えはなかった。今や議員は衆参合わせて6人、職員は18人にまで激減。資金不足解消の手立てはなかった。
「村山(富市)さんが総理だった1994年頃は、中央執行委員会(当時)が毎日深夜まで討議をしていたため煌々と電気がついていた。今は節電のためでもありますが、昼間でも暗いんです」(同前)
そして、いつからかこの薄暗いビルは幽霊屋敷と揶揄されるようになったという。
撮影■ヤナガワゴーッ!
※週刊ポスト2013年2月8日号