55才にして婚活を始めた女性セブンの名物記者・オバ記者。59才男子を家デートに誘ったもののドタキャンされてしまったのが昨年末。しかし、その後、積極的に婚活中という。以下は、オバ記者による“婚活ノート”だ。
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今、家デートは敷居が高すぎると悟ったが、しかし男子に会わないと話にならない。
年明け早々、鉄道仲間の新年会に出席した。魚の焼く匂いが充満している“おっさん居酒屋”で幹事Fさんが「こっちこっち~」と手を振った。
「婚活相手、いろいろ用意しといたからさ。とにあえずB君とS君の間にすわって」
30代後半とおぼしき顔見知りのふたりだ。気楽に足を踏み出そうとした瞬間、40才前半・独身で“ロリコン”の幹事Fさんが悪意のひとかけらもない顔で「ふたりとも童貞だよ」とのたまった。
満座の中で「童貞」と決めつけられたふたりはテレくさそうに笑っていたけど、私はその席に座れなかった。
飲み会が終了後、幹事Fさんから「ついでにA君の筆下ろしもいかがですか?」とメールがきた。
が、それにしてもわからないのが童貞男子と私の婚活の因果関係だ。
“童貞”といえば、私が喜んで飛びかかるとでも思っているのか。万が一、私が飛びかかったら童貞くんはウッキーッと頭に血が上って、求婚するかもしれないからそれを狙えということ?
幹事Fさんがそう言ったワケではない。ただの軽口なのはわかっているのにひどく堪えた。孫がいるようなこのトシで、ツレアイ探しにミジメさはつきものなのだろうか。
それでも結婚したいかと手を我が胸にあてて聞く。
「…したい」
ひと晩ぐっすり寝たら気分がコロッと変わったのだ。
「ラクに息ができる男性と、時間を積みかさねたい。そういう相手を探したいんだよね」
小娘編集嬢Aに言いながら、私は生まれて初めて“婚活”に取り組んでいることに驚いた。若いころは恋愛して結婚したい。そうすべきだという思い込みはあったものの、実際は恋愛という名の勘違いに浮かれ踊って、最後は「話が違う」とののしり合い。
たまたま一度だけ結婚に結びついたこともあったけど、離婚後はハクをつけたような気分になって恋愛評論家気取りだった。“イチロー、今日は打てねえのかよ”って言ってるおっさんと一緒。男友達から“ご隠居さん”と言われたこともある。
それがプレーヤーとしてバッターボックスに立ったらどうだろう。心細いなんてもんじゃない。他人のひとこと、風の音にも胸が震える。
実はその感じが、悪くないのよ。毎日、今までやらなかったことにひとつひとつ、挑戦しているのが。55才になった今、私はやっと結婚適齢期を迎えた気がする。
※女性セブン2013年2月7日号