<十一年前吾子の生れたる師走の夜立待ち月はあかく照りたり>
これは1月16日に行われた新年恒例の「歌会始の儀」で、皇太子妃・雅子さまが詠まれた御歌だ。愛子さまが誕生された2001年12月1日の夜、仰ぎ見る空に月が明るく照っていたことを雅子さまは大変印象深く思われた。後に雅子さまは、この月が十五夜から2日後にあたる十七夜の“立待ち月”であったことをお知りになるのだが、この御歌は、そのときの光景や感動を思い起こされ詠まれたものだという。
雅子さまが適応障害の療養に入られてから10年目となったが、振り返ってみると、この10年間の雅子さまの「歌会始」の御歌は、愛子さまのことを詠まれた歌ばかりだった。
<月見たしといふ幼な子の手をとりて出でたる庭に月あかくさす>(2007年)
お月見のころ、愛子さまと一緒に月をご覧になりながら繋いだ手のぬくもりに、日々の幸せを感じられたという気持ちを詠まれた。
2008年には、その前年に6才になられた愛子さまのことをこう詠まれている。
<ともさるる燭の火六つ願ひこめ吹きて幼なの笑みひろがれり>
誕生日のお祝いのケーキに立てられた6本のろうそくを吹き消される愛子さまのお顔に、喜びが広がっていく様子が目に浮かぶ御歌だ。
この10年間で愛子さまのこと、もしくは愛子さまにちなんだことを詠まれたのは8回。愛子さま以外のことをテーマとされたのは、わずかに2回しかない。皇室ジャーナリストの神田秀一氏はこう言う。
「雅子さまは近い将来、皇后となられるかたです。“国母”になるかたである以上、国民への思いが何よりも大切であると思うのです。特に被災地では、まだ大震災の傷は癒えていません。昨年は、そういった歌を詠まれているのですから、今年も被災地や被災者のことを思われる歌を詠まれて欲しかったですね。
愛子さまのことばかりを詠まれると、国民としては、皇太子妃との距離を感じ、 そうなれば国民の皇室離れを加速する不安すらあります。今年こそはご公務に少しずつでも復帰され、そのときの思いを来年の歌会始で披露していただきたいですね」
※女性セブン2013年2月7日号