厳しい大学生の就職戦線のなかでも、群を抜いて熾烈なのが「女子アナ」の採用試験である。
民放キー局(日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)の昨年の女子アナ採用人数はわずか7人。少ない“枠”を目指し、競い合う就職活動は過酷だ。
就活が本番に突入すると、第一関門となるのが「エントリーシート」。ここで女子アナ就活生が全力を注ぐのが写真である。
有名になりたくて女子アナを志望したというAさん(23)はこう語る。
「アナウンススクールでは、いつも根拠のない噂が飛び交っていました。『あのブランドのスーツを着て写真を撮れば、書類選考通過しやすいらしいよ!』という噂に、みんな必死だから、すぐ飛びついてしまう。うちのスクールでは、ほとんどみんなが同じブランドの同じスーツという珍事が起きた。私もそのひとり。ホント、バカでした」
「ここで撮影すれば通過しやすい」と噂の写真スタジオがあれば、そこにも押し寄せる。
「スクールではポージングのアドバイスから、撮影に適した天候まで教えてくれた。撮影をプロカメラマンにお願いしたり、試し撮りも数百枚は当たり前。私は、1000枚以上撮りました。そのなかから“奇跡の一枚”を探すんです」(Aさん)
こうした努力の末に書類審査を通過し、1次面接にたどりつけるのは10人に1人程度しかいない。普通、就活の面接といえば黒やグレーのリクルートスーツが定番。しかし、民放の女子アナ志望者たちは華やかだ。
高校時代から女子アナになりたかったというBさん(22)がいう。
「なぜか女子アナ就活生の間には『勝利の白スーツ信仰』があるんです。私はグレーだったんですが、逆に浮いちゃうんじゃないかと思うほど、白が多かった。それとベージュも多いですね」
しかし、あるテレビディレクターはその“効果”についてこう明かす。
「白スーツは確かにすごく多い。でも、採用には全く関係ありませんね……」
※週刊ポスト2013年2月8日号