ブームとなっている糖質オフダイエットだが、長期にわたって糖質摂取量を制限すると死亡率が高くなるというデータが発表された。それは、国立国際医療研究センター病院糖尿病・代謝・内分泌科の能登洋医長らが、米の科学誌で発表した解析結果。昨年9月12日までに発表された糖質制限食に関する海外の9論文を統合解析したもので、研究対象となったのは20~75才の男女27万人。
対象の27万人を摂取した総カロリーに占める糖質の割合に応じて10グループに分けたところ、そのうち糖質が最も少ないグループ(=中糖質群。食事全体の30~40%以下)の死亡率は、最も高いグループ(=高糖質群。食事全体の60~70%。※お米が主食のアジア圏の想定値)の1.31倍となったのだ。
しかし、糖質オフダイエットを提唱してきた京都・高雄病院の江部康二理事長はこう解説する。
「中糖質群では、発がんと動脈硬化のリスクがある一定量の糖質に加えて高脂肪食になり、『異所性脂肪沈着』を起こします。これは、本来脂肪がない場所に脂肪がつくことで、皮下脂肪や内臓脂肪と違って、脳以外の臓器や筋肉などの脂肪細胞ではない普通細胞に脂肪がたまってしまうことなんです。そうなると、細胞の機能障害や細胞死を起こし、生活習慣病などの原因となります」
つまり、糖質を緩く抑えたことにより、脂肪が多くなり、それが本来ない場所にたまり、病気を引き起こすというわけだ。
それを防ぐためにと、江部理事長が推進してきたのが、糖質を摂取する割合を12%にまで抑えた“スーパー糖質制限食”だ。
「1日3食すべてで、糖質の多い食べ物を避けるもので、主食は抜き、いも類、お菓子を控える。そうすると、理論的には高インスリン血症と食後高血糖という発がんや動脈硬化のリスクがすべて消えていき、肥満因子も解消されます」
糖質オフダイエットを5年以上続けると死亡率が高まるという説に対しても、江部理事長は、スーパー糖質制限食を11年続けたが健康を維持しているみずからの例を挙げて反論する。
さらに、『50歳からは炭水化物をやめなさい』の著者で、東京医科歯科大学の藤田紘一郎名誉教授はこう指摘する。ちなみにここでは、炭水化物イコール糖質ととらえていい。
「炭水化物摂取によって生じる活性酸素は、細胞を構成するたんぱく質や脂質を酸化させ、細胞を傷つけ、がん発生の要因ともなります。若い時は活性酸素を分解するパワーもありますが50才を過ぎたら話は別。活性酸素の分解力は弱まるので、体が弱まり、老化も加速することになるんです」
だから藤田氏は、とくに50才を過ぎてからの糖質オフダイエットをすすめるのだ。
※女性セブン2013年2月14日号