B型、C型などのウイルス性肝炎やアルコール性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が時間の経過とともに肝がんになるといわれるが、肝炎があるだけではがん化しない。肝炎から慢性肝炎に移行するにつれ肝臓の細胞が変性して線維化し硬くなる。
肝臓が硬くなるのは、炎症によって肝臓の細胞は死に、細胞が再生せずコラーゲン線維に置き換わるためだ。細胞と細胞を繋ぐコラーゲン線維が大量に増え肝硬変になり、硬くなった場所からがんになる。
山梨大学医学部附属病院消化器内科の榎本信幸教授の話。
「肝臓が柔らかい人が肝がんになる確率は、たとえ肝炎があっても10年間で約5%以下ですが、肝硬変では70%が肝がんになります。肝がんのリスクを調べるには肝臓の硬さを測ることが重要です」
肝臓の硬さは触診が一般的だ。肝臓はろっ骨の下、みぞおち付近から少しはみ出している。そこを皮膚の上から触りゴムまりのような触感なら問題ないが、タイヤのような硬さだと肝硬変になっている可能性が高い。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2013年2月8日号