著書『聞く力』(文春新書)が120万部を超えるベストセラーとなり、2012年「最も売れた本」の著書となった阿川佐和子さん(59才)。
阿川さんは、1953年生まれ。今年の11月には還暦を迎える年女だ。
ベストセラー『聞く力』のベースとなった週刊文春の名物連載対談『阿川佐和子のこの人に会いたい』ホステス役は、すでに20年を超えて、対談した相手は950人に迫ろうとしている。年齢も性別もジャンルもさまざまなゲストから、毎回、意外な素顔、本音を引き出す“ワザ”には定評があり、現在は、他に『サワコの朝』(TBS系・毎週土曜午前7時半~)でも対談のゲストを迎えている。
「そんなこんなで、毎月8人と対談していることになりますが、いまだに前の日は緊張して眠れなかったり、予習が間に合わず、“あー、どうしよう”と大騒ぎしたりするのは日常茶飯事ですよ(笑い)」(阿川さん・以下「」内同)
阿川さんは、これほど長く仕事を続けることになろうとは思いもよらなかったという。小さいころから「お嫁さんになる」のが夢で、お見合い経験は豊富。
「そういう育てられ方をしてきた、というべきでしょうね。大正9年生まれの、とくに男尊女卑の意識の強い父と、その父に滅私奉公してきた専業主婦の母のもとで育っておりますから」
阿川さんの父、弘之氏(92才)は、代表作に『山本五十六』『米内光政』などを持つ日本を代表する作家のひとりで、文化勲章を受章してもいる。兄は慶応大学常任理事の阿川尚之氏(61才)、ほかに弟が2人いる。
「社会で働こうというのは、特殊な能力のある女に限られる。そもそも女は論理的にものを考えられない、社会性に欠けるんだ、と父に洗脳されて育ったんですから。
それから “佐和子は本を読まない。そういう人間が社会に出てもたいしたことはできないだろう。今から努力するというなら話は別だけども、努力をする気はあるか”“ありません”“だったら、家庭に入って、子育てと亭主の世話をするというのがいちばん幸せな道なんじゃないか”と(笑い)」 成長してからも、よく「出ていけ!」と怒鳴られたという阿川さんは、
「聞く力のまったくなかった父の娘がなぜ聞く仕事をするに至ったか…反面教師かもしれません」
※女性セブン2013年2月14日号