「きんは100シャア、ぎんも100シャア」そんな名セリフで日本中を沸かせた双子の100才、きんさんぎんさん。あれから20年が経ち、ぎんさんの4人の娘たちも今や平均年齢94才。
風は冷たいが、空はすっきりと晴れわたって、冬の陽ざしが心に染みこむような日の昼下がり。五女・美根代さん(90才)が暮らす蟹江家(名古屋市)に、長女・年子さん(99才)と三女・千多代さん(95才)が、ゆっくりとした足取りでやってきた。門扉を入って玄関に続く前庭に、高さ3mもある山茶花が、薄紅の花を見事なまでにつけている。
ほどなく四女・百合子さん(92才)も顔をそろえて、3日ぶりに“おしゃべりタイム”が始まった。
百合子さん:「こないだ、正月のお雑煮を食べたと思うたら、もう2月だが。月日の流れがどんどん早くなる」
美根代さん:「ほんと、年を重ねるごとに時間が駆け足になるにゃあ。もう、毎日が矢のごとく過ぎてゆくだがね」
千多代さん:「そうそう、そういえば、ゆんべ(昨夜)、久しぶりに面白い夢を見たよ。なんでもな、私がテレビドラマの主役に抜擢されただが」
年子さん:「なに!? あんたが女優かあ。しわくちゃの梅干しばあさんが女優デビューだなんて、そりゃ、前代未聞だが(笑い)」
そんな話題で盛り上がっているところへ、隣の部屋で電話が鳴った。美根代さんの息子の嫁・万里さん(60才)が受話器をとると、先方はテレビ局の制作プロデューサーだった。話を聞くと、4姉妹に「ぜひ、テレビドラマに出演してほしい」という打診だった。
千多代さん:「へぇ~っ、ゆんべの夢が“正夢”になったということだが」
百合子さん:「いよいよ、私らも女優でデビューするだかぁ。これは、えらいことだよ」
ところがこの後、姉妹たちはちょっぴり失望することになった。というのも、そのドラマ『そんなこんなで女は走る』(東海テレビ制作、3月ごろ東海圏のみで放送予定)では、3分間ほど顔を出すだけということがわかったからだ。
美根代さん:「いんや、張り切ってやれば、そのうちね、NHKの大河ドラマから声がかかるかもしれん、ハハハハ」
年子さん:「そう、もうこの年になったら、夢はでっかく持たんといかん(笑い)」
※女性セブン2013年2月14日号