資源、食糧の輸入大国となった中国の弱点は、貿易を海の交通に大きく依存していることだ。周辺の海洋民主主義国家が連携し合うなら、中国の暴走は牽制できると指摘するのは慶應大学大学院特別招聘教授の谷口智彦氏だ。
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13億の胃袋は巨大だ。史上最大の遠洋漁業国となった中国からは、漁船も遠く大西洋まで出て行く。資源、食糧をますます海に頼りつつ、同盟相手をもたない中国は、洋上交通を自分で守るしかない。それが、周囲の懸念を無視して中国が海軍力強化にいそしむ一つの大きな理由だ。
遠からず、大型艦船や潜水艦を太平洋の真ん中に押し出すことになるだろう。その際、出入口になる関所に当たる位置に沖縄の島々があり、南シナ海がある。ここを自分たちの自由にしておきたいと考えるのは、中国にとっていかにも「合理的」なことであるに違いない。
まさしくそこが中国の弱点になる。中国は海に依存せざるを得ず、頼れる仲間はいない。それならインドから日本まで、海洋の自由を重んじる民主主義国家が手を組めば、中国を牽制できるだろう。
まずは中国の圧力をひしひし感じつつある日本が、その旗振り役になるべきだ。
アメリカのオバマ大統領はアジア太平洋を「最も重要な地域」と位置付け、財政緊縮下でも関与を強める方針を打ち出した。これは同盟国日本にとってプラス。加えてオーストラリア、インドと連携すれば、海洋民主主義のネットワークが姿を現わす。そこにはシンガポール、インドネシア、ベトナムが加わる。
中国はそれらの国といたずらに対立する道をとることはできない。身勝手な振る舞いを、少しは改めるだろう。
※SAPIO2013年2月号