投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、2月4日~2月8日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、週末に予定されているG-7財務相代理会合(非公式)での安倍政権による円安誘導に対する米国の見解に注目する展開が予想される。ドル・円が続伸した場合、本邦輸入企業による輸入予約の前倒し、本邦輸出企業による輸出予約の買戻し、本邦機関投資家による仕組み債絡みの円高ヘッジポジションの手仕舞い、海外投資家の日本株投資(円買い)の円売りヘッジなどに警戒する展開となる。
【G-7財務相代理会合】
安倍政権による円高・デフレからの脱却を目指す円安誘導は、2月15~16日のG-20財務相・中央銀行総裁会議、2月21~22日に予定されている日米首脳会談を控えて、ドイツ、イギリス、アメリカ、カナダ、ロシア、中国、韓国の通貨当局から批判の矢面に立たされている。
しかしながら、オバマ米政権から円安誘導に対する牽制発言が出ていないことで、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加をバーターにして、1ドル=95円~100円程度までのドル高・円安が容認されているとの憶測が広がりつつある。麻生財務相の強気発言「G-20財務相・中央銀行総裁会議で海外当局の円安批判について反論する」がこの憶測に信憑性を与えている。
【浜田シーリング(100円)VSルー・シーリング】
安倍首相のブレーンである浜田内閣官房参与は、1ドル=100円程度が望ましいとの希望的観測を述べている。オバマ米政権が許容する円安水準がどのあたりなのか、日米首脳会談に向けて、ルー米財務長官の発言に注目する展開となる。
【日本の12月の経常収支】(8日)
日本の12月の経常収支は1411億円の赤字が予想されており、11月(-2224億円)に続いて2ヶ月連続して経常赤字となった場合、円売りトレンドに拍車がかかることになる。
【日本の1月の上中旬貿易収支】(8日)
日本の1月の上旬貿易収支は、1兆709.09億円の貿易赤字だった。1月全体では2兆円規模の貿易赤字が予想されており、上中旬貿易赤字が予想を裏付ける数字だった場合、円売り要因となる。
2月4~8日に発表される主要経済指標のポイントは次の通り。
○(米)1月ISM非製造業景況指数 -- 2月5日(火)日本時間6日午前0時発表
・予想は、55.2
参考資料となる同指標の12月内訳で、先行性のある「新規受注」DIは59.3←11月58.1と上昇。「在庫」DIは上昇、「受注残」DIは50を下回った。新規受注の増加を考慮するとコンセンサスは妥当か。
○(米)2月1日時点住宅ローン申請指数 -- 2月6日(水)日本時間午後9時発表
・前回実績は、-8.1%
1月4日~18日週における申請指数の上昇は12月中における大幅な低下の反動によるものとみられている。株高、住宅ローン金利の低位安定などを背景に米国の住宅市況はまずまずの状態を維持している。ただし、消費者信頼感が低下しており、申請指数が上昇を続ける可能性は当面低いとみられる。
○(日)12月国際収支(経常収支) -- 2月8日(金)午前8時50分発表
・予想は、-1411億円
12月の貿易収支は6415億円の赤字となったが、赤字額は11月の9565億円を下回っており、経常収支にはプラス要因。ただし、貿易赤字の絶対額は依然として大きいだけに、経常赤字額は11月の2224億円を下回るとしても、1000億円を超える可能性がある。
○(米)12月貿易収支 -- 2月8日(金)日本時間午後10時30分発表
・予想は、-460億ドル
12月ISM製造業の内訳「輸出受注」DIは51.5←11月47.0、「輸入」DIは51.5←同48.0で、輸出・輸入はいずれも上昇。また、12月原油価格は、前月比で上昇していることから赤字拡大要因となる。輸出入の増加を考慮すると、12月の貿易赤字額は11月と大差ない規模となりそうだ。
主な予定は、4日(月):(米)12月製造業受注指数、7日(木):(日)12月機械受注、(米)10-12月期非農業部門労働生産性、8日(金):(日)1月景気ウォッチャー調査、(米)12月卸売在庫
[予想レンジ]
・ドル・円89円00銭~94円00銭