2月3日午後9時59分、肺炎のため、都内の病院で亡くなった十二代目・市川團十郎さん(享年66)。この日は、いつも看病してくれた長女・市川ぼたん(33才)が仕事で地方に出かけていたが、彼女の帰りを待っていたかのように、妻の希実子さん(60才)、長男・市川海老蔵(35才)や妻・小林麻央(30才)ら家族全員に見守られながら息を引き取ったという。
昨年11月30日から12月26日に京都・南座で行われていた中村勘九郎(31才)の六代目襲名披露『吉例顔見世興行』を、團十郎さんは体調不良のため休演する。滞在先の京都の病院では風邪との診断だったが、帰京後、かかりつけの病院で検査を受けると肺炎と診断され、そのまま入院することに。
「入院当初は、まだしっかりしていて、團十郎さんの奥さんが“免疫力を上げるお手製のジュース”を作って飲ませていたそうです」(医療関係者)
毎年恒例である成田山での年越しも断念。さらに4月の新・歌舞伎座のこけら落とし出演のため、3月に行われるはずだった主演舞台『オセロー』も降板して、治療に専念した。だが年が明けると、こんな声が聞こえ始めた。
「後援会の人や松竹関係者がお見舞いに行こうとすると、“今は菌への耐性が弱くなっているから…”と断られてしまうみたいで、誰も会えない状況でした。“こけら落としに間に合わないかも”なんて話す関係者もいました」(歌舞伎関係者)
肺の状態は悪化する一方で、1月19日からは、“眠りながら集中的な治療を行った”と海老蔵は会見で明かしている。この治療を始める直前、公演中だった海老蔵は團十郎さんとテレビ電話で話をしたという。
「そのとき、父はもうしゃべれないで…。でも苦しい状況でも電話がつながると笑顔だったので。それが、意識がある中では最後でした…」
海老蔵はしかし、父の生還を最後まで信じ続けていた。かつて、團十郎さんの白血病闘病中、海老蔵はこんな願掛けをしたことがある。
「肉、魚、酒を断ってます。親父が本当に元気になるまで、好きなものを断とうと」
そして、今回の入院中も再び願掛けをしていたという。
「実は、海老蔵さんはまた断酒を始めたんです。普段なら、終演後、仲間を誘って飲みに出かけるんですが、1月の公演中は、出番を終えると真っすぐ自宅に帰っていました」(別の歌舞伎関係者)
そんな海老蔵の願いも叶うことなく、團十郎さんは帰らぬ人となってしまった。
※女性セブン2013年2月21日号