プロ野球もキャンプ入りし、今年もワクワクしている人も多いだろうが、「国民的スポーツ」と称されるプロ野球で起こった「大事件」の裏側を、当時を知る人々の証言を元に明らかにしよう。
球史に残る数多くの乱闘シーンの中でも、今でも語り草なのは、1986年6月13日の近鉄―西武戦での、デービスvs東尾修だ。
この乱闘で特筆すべきは、東尾の姿勢だ。突進してくるデービスに対し、マウンドで仁王立ち。4、5発のパンチをモロに受けながらも、逃げなかった。
日頃から、「インコースをつくには、それなりのリスクがあるのは承知している」と豪語するタイプ。事件の直後にも、殴られて左目を充血させながら、
「マウンドは投手にとって城なんだ。あっさり明け渡すわけにはいかない」
と正面から立ち向かった行動を説明していた。WBCで投手コーチを務める東尾氏は、若きサムライたちに、どんな投球術を教え込むのだろうか。
※週刊ポスト2013年2月15・22日号