中国広東省の人気週刊紙「南方週末」の社説が当局により書き換えられた事件で、中国の報道規制に批判が高まっている。
そんな中で、広東省政府の規制に反対した同紙の記者や編集者らを逮捕、強制労働改造所に送りこもうとした広州市公安局のナンバー2で、党委副書記兼副局長が逆に習近平党総書記の批判を受けたことを苦にして、首つり自殺したことが分かった。習近平指導部発足後、政策に絡んだ初の自殺者とみられる。
米国を拠点にする中国ニュースウェブサイト「博訊(ボシュン)」によると、この副局長は祁暁林氏(55)で、民主化運動などの思想・政治問題を担当しており、市党委員会で政法委員会の副秘書長を務めていた。いわば、共産党の統治に反対する「異見人士」取り締まりのプロといえる。
今年1月初旬に、南方週末の社説書き換え事件が明るみに出て、同紙の記者ら騒ぎ出したことで、祁氏は市政府に対して「異見人士10~20人を労働改造所に送りこめば、すぐに事態は治まる」などとした建議書を提出。ところが、事件を重くみた習近平指導部は祁氏の建議書を逆に批判したことで、メンツを潰された祁氏は自殺を図ったという。
祁氏については多額の借金を抱えていたとか、精神的に不安定だったなどの証言があり、さらに仕事に絡んで、習指導部から批判を受けたことで、発作的に自殺したとの見方も出ている。
お上の指図に従わない人々をすぐに「労働改造所送り」にするというのも、中国の政治情勢を反映しているといえそうだが、それ以上に地方の官吏が北京上層部の動きに極めて敏感なことを祁氏の自殺は物語っているといえよう。