環境省によると、今年は1月下旬に既に花粉が飛散開始をしたとのことで、例年よりも早めの花粉シーズンが到来した。 都内では昨春の5~6倍、例年の2倍程度となる見込みとされ、鼻水や目のかゆみなど、いつも以上に辛い季節が待ち構えているようだ。
ウェザーニューズの調査では、花粉症で気になる症状は「鼻」と「目のかゆみ」でそれぞれほぼ同数。また、近年花粉症状を訴える子どもも増えているようで、メガネブランドJINSの調査によると、4歳~12歳の子どもの3人に1人が花粉症で、その半数以上が目の症状を訴えているという。
口や鼻から花粉が入るのを防止するため、マスクをする姿は珍しくなくなっているが、目についてはどのような対策があるのだろうか。「目の花粉症」への対処法を医療法人社団 慶翔会理事長の深川和巳先生に話を聞いた。
■「目の花粉症」予防と初期治療でその後の症状半減
花粉症というのは、スギ花粉症によって起きるアレルギー反応のこと。深川医師によると、体のなかに、花粉が入ってくる経路としてあるのは目と鼻、口、そして最近問題になっているのが“花粉皮膚炎”。花粉が皮膚にくっついてアレルギー反応をおこすことがあるというのだ。「顔の中でも、特にまぶた。皮膚が敏感なので、アレルギー反応がおこりやすいのです。
まぶたが赤く腫れて化粧ののりなど が悪くなったら、花粉症かもしれません」
深川先生によると、症状がすすんでしまうと強いステロイドなどの入った薬を使うこともあるため、なるべく副作用の影響の少ない薬で済ませるためにも、予防と初期治療が大切。予防の目薬をさすだけでも、その後の症状が半分に抑えられるという。
今や、国民の3分の1が花粉症を持っているといわれるが、「実際クリニックに来る患者さんも年々増えてきています。毎年毎年花粉を浴び続けると、だんだん(アレルギー物質としての花粉が)体のなかに増えてくるんですね。だからそもそも花粉を体に入れない、くっつけないことが重要です」(深川先生)
■目のケアを生活習慣に――目にも「マスク」を
アレルギーの治療というのは、花粉症に限らず基本的に“セルフケア”。抗原回避、つまり抗原がアレルギーを起こす場所にくっつくのを遮断することが第一だ。
「花粉が入ってくるのを防止するためには、鼻や口にマスクをするように、目にも“マスク”――メガネをかけるのが効果的です。コンタクトしている人でも、メガネにするだけで症状は半分になります。最近はカラーコンタクトをしていて、そこは外したくないという方も増えていますが、外出時だけでも花粉防止メガネをかけるようにすると、むしろ目の美しさを保てますよ」
ちなみに飛散する花粉は、どのように顔に付着するのか? メガネブランド・JINSが花粉の飛散を示した動画を公開しており、そこでは裸眼と通常のメガネをかけた場合、そしてJINS花粉カットメガネをかけた場合の3パターンで、花粉が顔にくっつく状況をシミュレーションしている。わずか50秒ほどで顔中真っ黄色になるほどの花粉の量が飛んでいることがわかり、衝撃的だ。 ちなみに同メガネの花粉カット率は最大93%なのだという。
「今年は中国大気汚染の影響もあり、皮膚に対して刺激物質が多くなることが予想されます。弱まった皮膚はアレルギー反応も起こしやすくなるため、マスクをするように、目にもメガネをかけること。そして外出から帰ってきたときに手とうがいをするように、目も洗うなど、“目のケア”を生活習慣にしてしまうことです。ただ、目の洗浄液を使うときは、防腐剤が入っていないものを選びましょう。人工涙液もいいですね」(深川先生)