西川文二氏は、1957年生まれ。主宰するCan! Do! Pet Dog Schoolで科学的な理論に基づく犬のしつけを指導している。その西川氏が、犬に与えてはいけない食べ物の“横綱”について解説する。
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いつからですかね、バレンタインデーなんてのが、日本で騒がれるようになったのは。読者諸兄の中には、いっぱいもらう人もいるんでしょうね、チョコを。 ひがみってわけじゃありませんがね、私めの中では、なくてもいい日番付の、横綱に位置している。
さて、本題。チョコと言えば、犬に与えてはいけない食べ物の横綱。ひがんでいるわけじゃないけど、悪い奴なんですな、アレ(もっとも犬にとってですけどね)。何がいけないかって言うと、テオブロミンという成分がいけない。
テオブロミンってのは、利尿薬などにも使われている物質。末梢血管を拡張して血圧を下げる効果もあって、降圧薬としても用いられてる。さらには中枢神経を興奮させる作用もある。
薬になるってモンは、そのほとんどが取りすぎれば毒にもなる。幸い人間の場合は、このテオブロミン、効率よく排除ができるんで取りすぎるってことはない。だけど、犬の場合は、なかなか排除できない。で、問題となる。
大量に摂取すると犬は、嘔吐、下痢などの症状を呈す。さらに重症になると、急性心不全を引き起こすこともある。
さて、飼い主として気になるのは、どのくらいの量を口にしちゃうと危ないかってことだけど、コレ、体重1キログラム当たり、100~200ミリグラム摂取すると中毒の危険があるそう。でも実はこの量、実際のチョコレートで換算すると、小型犬なら板チョコ1枚程度を、丸ごと口にする必要があるらしい。
なんだ、そんなに心配することないじゃん、自分は結構チョコもらうから心配してたけど……ですか。あ~、そう、それはよござんしたね。もらったチョコが原因で、「浮気がバレンタイン」、なんてことにならないよう、ご用心をば。
※週刊ポスト2013年2月15・22日号