平成23年度犬・猫飼育実態調査によれば、犬・猫の飼育率は50才代が最も高く、次いで60才代となっている。つまり、比較的高い年齢層でペットを飼っている割合が多いのだ。今後、高齢化社会が進むことを考えると、この傾向はさらに強くなるかもしれない。それこそ「高齢者の生きがい」としてのペットが重要になる日も近いのだ。
東京都家庭動物愛護協会会長で、須田動物病院の須田沖夫院長は、ペットが高齢者に与えるメリットをこう指摘する。
「人は動物と一緒にいることでリラックスし、血圧やコレステロール値が低下、病気の回復力や適応力を高め、また、共に散歩することで体力的な衰えを予防できます。散歩中には近所の人や、他の犬を散歩させている人との会話も生まれ、地域社会に溶け込めますから、孤独なおひとりさまになることはありません」
自治体のなかには、高齢者とペットが共存できるよう制度を見直したり、民間団体と相互協力を進めているところもある。しかし、基本的にペットを飼うというのは個人の自由であるため、抜本的な改革に至っていないのが現状だ。
東京都では、2007年に作成した動物愛護推進計画の中で、高齢者のおひとりさまが、急な入院などの際、動物を引き取る仕組み(一時預かり制度)づくりを進めていたが、頓挫してしまった。東京都福祉保健局動物管理係の担当者はこう説明する。
「一時預かり期間中の病気や事故の責任問題、“一時”の期間など、一律の仕組みづくりが非常に困難という結論になりました。都としては、何かあった場合に、子供や親戚、友人などに頼める関係を築いておくことや、これから動物を飼うかたには、犬や猫の寿命を考慮し、15年後、20年後の人生設計をしていただくことなどを啓発するため、講習会などを開いています」
※女性セブン2013年2月28日号