サングラスに縦縞のダブルスーツ、傍らには物騒なモノが入っていそうな黒のアタッシェケースを携えて、その人はやってきた。
その“筋”の方ではない。石原慎太郎・衆議院議員(80)である。
まさに「石原軍団」といったいでたちで、2月12日の衆院予算委員会に登場した石原氏が国会議員として発言するのは、実に18年ぶり。国政復帰後は、あまり目立った発言がなかったのも、「本番は予算委員会からだよ」という本人の意気込みの表われだったのか。この日は飛ばしに飛ばした。
冒頭は「『暴走老人』の石原慎太郎です」と最近お気に入りの自己紹介で始まり、そのあとは、質問そっちのけで持論を滔々と、なんと1時間40分! 憲法の歴史講義に、模型を使った基地問題。中国問題では「支那」を連呼し、天皇陛下には靖国神社参拝を促す。
この大独演会にネット上も大盛り上がり。「久々に見応えのある国会」「あまりの面白さにヤジ一切なし」といった称賛の声の一方、「居眠りしたくなる授業」「バカ、アホ連発はどうよ」という声も。
本人は「国民への遺言のつもりで」と話していたが、いやいや、ともするとこの面白演説会、「国会恒例」ってことになりかねない。
撮影■太田真三
※週刊ポスト2013年3月1日号