東日本大震災の被災地、宮城・石巻市は、コラムニストの木村和久さんが高校卒業までを過ごした地。木村さんが、縁ある人々の安否を自身の足で尋ねながら、震災直後から現在の状況までをレポートします。今回は、昨年11月に再開した観光スポット「石ノ森萬画館」についてです。
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仮面ライダーやサイボーグ009でお馴染みの、石ノ森章太郎さんの記念館「石ノ森萬画館」が昨年の11月、ようやく再開となりました。石ノ森さんは、石巻の隣町の登米市石森地区で生まれたので、町の名前をペンネームにしていたのです。
その近所のよしみで、平成13年に宇宙船のような近未来的な萬画館ができて、大盛況だったのですが、今回の大震災で、相当な被害を受けました。何しろ萬画館の場所が、北上川の中ノ島、中瀬にあったわけで、もろ海からの津波に直撃されのみ込まれたのです。
幸い建物が丈夫だったので、外枠は修理して使えることが判明。市の予算7億5000万円が投入されての再開となりました。この時期に、莫大なお金をかけて修理をするなら、復興住宅や仮設住宅の維持にお金をかけろという意見もありますが、街のシンボル的なものが再開した方が、市民の励みになるし、外部からお客さんがやって来るのではないかと。私は、そっちの意見に賛成です。
久しぶりに訪れた萬画館は、感無量というか、入り口に再開の横断幕がど~んと吊るされて、涙ものです。受付のサイボーグ003のコスチュームを着たお姉さんが、にこやかにお出迎えもグッドです。
各漫画界の先生がたが、寄せ書きの色紙を沢山書いてくださり、日本の漫画家のほとんどが集結したといっても過言ではありません。
そういえば石ノ森先生は、手塚治虫先生も住んでいた「トキワ荘」の仲間です。当時のトキワ荘の模型もいい感じの古ぼけ具合で展示してありました。
石巻近辺は、松島や金華山などの観光地はありましたが、街としては、とりわけ目だった観光資源があるわけではないのです。ですから、石ノ森萬画館に懸ける情熱は、並々ならぬものがあります。
仙台と石巻を結ぶ仙石線(現在部分開通)には、マンガッタンライナーという、ロボコンなどのキャラクターが描かれた電車があり、それに乗って石巻に着くとサイボーグ009のキャラクターがホームでお出迎え。
石ノ森ワールドのキャラクターがいくつも配置されています。そのオブジェは、駅前から商店街を抜けて、萬画館まで続くのです。すでにオープンから、200万人以上が来場した石巻最大の観光スポット。是非復興のために頑張って、沢山のお客さんを呼んで欲しいですよね。
※女性セブン2013年2月28日号