「Yahoo!オークション」(以下、ヤフオク)に、目を疑う“お宝”が出品された。「読売巨人軍55 松井秀喜2000~01支給直筆サインバット 小錦贈呈品」。昨シーズン限りで引退した大打者・松井秀喜氏が、元大関の小錦(現KONISHIKI)に贈ったものというのである。
バットには日本プロ野球機構(NPB)のマークが刻印してあり、「KONISHIKIさんへ」という文字とともに、松井氏のサインが記してある。
スタート価格は18万円! おいそれと手が出ない金額だが、熱烈なファンにとっては喉から手が出るほどほしいものだろう。出品者はどうやらKONISHIKIではない人物のようだ。他にもスポーツ系のお宝グッズを数多く出品している。
とはいえ、なぜKONISHIKIはこんな貴重な品を手放してしまったのか? お金に困っていたのか、それとも誰かにせがまれて譲り渡したものが、なぜか流出してしまったのか?
本誌はKONISHIKIサイドに真相を問い質した。するとこんな答えが返ってきた。
「本人は松井さんからバットをもらった覚えはないといっています」(KONISHIKIの夫人)
ということはニセモノ? であればファン心理を逆手に取った許し難い行為だ。すぐさま出品者にメールで問い合わると、
「この品は前所有者から入手したもの。品物が小錦氏の手に渡ったか否かは直接タッチしていないので存じかねますが、バットやサイン自体は確かな品物だと思います」
との返答。嘘をついているようにも思えない。サインの筆跡を確認しても、確かに巨人時代の松井選手のものと瓜二つである。だいいち、ニセモノならばわざわざKONISHIKIの名前を書く理由が全くわからない。
これはもうあの人に聞くしかない。記者は、石川県で松井氏の父・昌雄氏に真相を聞いた。
「KONISHIKIさんにバットを贈ったとか、親交があったという話は息子からは聞いていません。サインは似ているし、本物かもしれないが…。私には判断できません」
結局本物かどうかはわからずじまい。ちなみに、本誌締め切りまでにこのバットへの入札はなかった。
※週刊ポスト2013年3月1日号