近頃、経済的な理由や子供のことを考えてあえて離婚せず、家庭内別居を始める夫婦が増えているという。
結婚して22年になる50才の主婦Aさん夫婦(夫・公務員・51才)は、周囲も羨むおしどり夫婦。だが、家に一歩入れば一転。夫婦の間には深い溝ができあがっていた。
「夫は外ではいかにも愛妻家を気取ってニコニコしていますが、家ではお山の大将気取り。そんな夫の器の小ささに嫌気が差して、上の子を連れて何度か実家に帰ったこともありました。
とはいえ、その後、2人目の子供もできて、今さら仕事復帰してシングルマザーとして頑張る勇気はありませんでした。それに、夫婦としては嫌だけど、単に生活費を運んでくれる同居人と考えれば、夫の役割は重要でしたからね」
とAさんは笑う。そこでAさんがとったのが、夫に気づかれないよう、徐々に家庭内別居をしたことだった。
「生活上で共有するスペースやモノを少しずつ仕分けしていったんです」と言うAさんが、最初にやったのは寝室を別にしたこと。
「下の子ができた時に、夜中の授乳を言い訳に、寝室を離れて子供と一緒に寝るようにしました。夫婦の寝室は2階だったんですけど、子供部屋は1階だし、キッチンのそばだから便利もいいんですよ」
あたかも夫への気遣いのように見せ、セックスを求められても「子供が起きるから」と拒むようになった。Aさんが続けて言う。
「次はタンス。夫が仕事に出ている平日の昼間、友人に手伝ってもらって2階から1階に移動させたんです。夫には“朝から隣でタンスの開け閉めしたら悪いから”って。これで夜寝るときから朝の身支度までは夫との接触もなく過ごせます」
なるほど、こうなれば、後は朝晩の食事の時間ぐらいしか、顔を合わせる機会もないというわけだ。
「一緒に食事をするのも嫌なので、私はお酒をついだり、なんだかんだとキッチンとテーブルを行ったり来たり。夫には、甲斐甲斐しく給仕する妻に見えているはずです」(Aさん)
※女性セブン2013年2月28日号