引く手あまたの男が選んだのは「男のロマン」だった。読売テレビ報道局解説委員長を経て、現在はフリーキャスターとして活躍する辛坊治郎氏(56)。“ポスト池上彰”と称される軽妙な語り口からお茶の間の支持も厚く、これまで幾度も政界転身が噂されてきた。
このたび現在出演するレギュラー番組をいったん休み、ヨットでの太平洋横断に挑むという。 辛坊氏の仕事関係者の話。
「期間は60日間ぐらいと聞いています。日本を今春出発し、太平洋を横断してアメリカのサンディエゴ港を目指すようです」
辛坊氏は週刊誌2誌の連載を持っており、既に担当者には3月いっぱいでの休載を申し入れたという。 並々ならぬ意気込みが伝わってくるが、実は今回、辛坊氏単独で太平洋に挑むわけではない。
「ある全盲者が長年夢見てきた“ヨットでの太平洋横断”というプロジェクトがあり、それをサポートするかたちで辛坊さんも航海するそうです。全盲者がヨットを安全に動かすにはリスクが大きい。サポート隊にも様々な困難も予想されます」(同前)
転機は昨年12月、十二指腸がんの摘出手術を行なったことだった。 レギュラー番組を多数抱えて心身に無理を重ねた末のがん発覚──。手術日当日の出演番組では、
「テレビ出て解説してる場合じゃないだろ!」
と、自ら突っ込みをいれて明るく振る舞っていたが、多忙な日々を見直し、新たな道に挑戦する契機となったようだ。
日本からの距離は約9000キロ──。56歳の夢はサンディエゴ港まで届くか。
※週刊ポスト2013年3月1日号