「菅野(智之)をこの目で見たい。久しぶりにビシ! バシ! いわせてもらうでェ~!」
カネやんこと400勝投手・金田正一氏(79)が、宮崎の巨人軍キャンプを訪問した。
球場に到着するなり、一塁側ベンチにズカズカ乱入。グラウンドにぬっと体を乗り出し、選手たちに向けて「オォイ!」と大声を出すと、和やかなムードでウォーミングアップをしていたチームの様子が一変、選手全員が最敬礼で挨拶した。
「よォーし、ご苦労さん!」
右手をヒョイとあげて微笑むカネやん。そこへ原辰徳監督がやってきて、ベンチでの緊急インタビューが始まった。
金田:「辰ちゃん、調子はどうや?」
原:「昨年よりいいチームができそうです。投手陣も3~4年前から比べても、レベルが上がって若返りましたしね。新加入の外国人もいいですし、菅野も入って層が厚くなった。期待していますよ」
「そう、ワシはその菅野のことが聞きたかったのよ」──「監督と選手」であると同時に「伯父と甥」である2人の関係はどのようなものか。原監督は真摯に答えた。
原:「ジャイアンツの投手陣と戦えるだけのものは持っている。あとは生き残れるかどうか。根底にあるのは実力至上主義ですから。力がなければ去っていく、それだけですよ。関係が難しいのでは、といわれますが大丈夫です。お互いが野球を通じて、喜びも苦しみも分かち合っている、温かい環境ですから」
撮影■山崎力夫
※週刊ポスト2013年3月1日号