今、桂銀淑の往年のヒット曲『ベサメムーチョ』のカバー曲が話題となっている。ラジオや有線放送でその曲が流れると、「カバーしている女性歌手は誰?」という問い合わせが殺到するというのだが、実は歌っているのは男性歌手・川上大輔(28才)なのだ。
銀座の街角で街頭ライブをしたときには、その爽やかな美男子ぶり&美声に引き寄せられた40~50代の女性客で大混雑になったなど、デビュー前から、数々の逸話を有する川上。
「ピアノを習っていましたけど、基礎練習が面倒くさくて(笑い)。学生時代はサッカー漬け。人前で歌ったのは、中学3年の時に姉とカラオケに行ったのが最初です。当時から、歌ってみてと言われて、宇多田ヒカルさんとか女性の曲を歌うこともありました」(川上・以下同)
唯一無二と評される個性的なハイトーンの歌声。艶やかで、切なくて、心に響く。話し声は歌声より低くなるけれど、清らかなのは変わりない。この声でテレサ・テン『愛人』、ペギー葉山『爪』など、女心を映し出す数々の名曲を歌い上げる。でも、どうして歌謡曲を歌うことに?
「デビュー前、洋楽も含めて100曲くらい、いろいろなジャンルの曲を歌ってみてたどり着きました。実を言うと、今までは“歌謡曲って古いんじゃない?”という固定観念を持っていたんです。ところが実際に聞いてみると、曲に魅力があるし、とにかくすごくほっとする。だから原曲のいい部分を残しながら、ぼくらしさを出していきたいですね」
大学在学中に歌手になろうと決意したものの、歌はまったくの自己流。オーディションで厳しい指摘をされ、ボイストレーニングを受けつつライブ活動をしていたときに、幸運にも現事務所に声をかけられたという。
「デビューまで3年かかりましたが、焦りは全然なかったです。歌には人間性が出てしまうと思いますし、喉のケアのためにも食生活や生活習慣に気をつけるようになりました」
大好きなビールも、レコーディングやライブがない日に控えめに飲む程度。徹底したプロ意識を覗かせる。目標は、ちあきなおみ。
「早く“大さま”と言われるようになりたいです(笑い)」
※女性セブン2013年2月28日号