「菅野(智之)をこの目で見たい!」ということで、カネやんこと400勝投手・金田正一氏(79)が、宮崎の巨人軍キャンプを訪問した。ベンチで原辰徳監督と合流すると、カネやんの意向を知った原監督が、おもむろに自身の甥で2012年のドラフト1位・菅野を呼び寄せた。
原:「お~い、智之! ちょっと来い。大先輩がお前を心配して見に来てくださったぞ」
菅野:「ありがとうございます」
金田:「ワシが誰かわかるか?」
菅野:「もちろんです、ハイ」
金田:「長嶋さんだよ」
菅野:「あ、イヤ、ハイ(とカネやんのギャグに困惑気味)」
金田:「いい体だ。油断せず、大学と同様にやれば成績を残せるさ。それに男前だな」
原:「それはもう、僕のDNAも入ってますから(笑い)」
カネやんはその後、菅野の投球を見るためにブルペンへ。普通はOBでも立ち入り禁止のマウンド後ろに陣取り、火鉢まで用意されるという特別待遇のなか、投球を見守った。内容には大満足した様子。記者に囲まれると、カネやん節が炸裂した。
「いい目の保養になった。金田二世だよ。大谷(翔平)や藤浪(晋太郎)とは比べものにならんね。あの子たちはまだ見てないけど」
ずっこける報道陣を尻目に、こう続けた。
「稲尾(和久)を思い出したね。腕があれだけ、1コマ、2コマと“コマ遅れ”で出てくる投手を久しぶりに見た。腕が遅れることで、球がいきなり来るから、打者は苦労するだろうな。ノーモーションでいきなり殴られるようなものだよ。反応できんだろう? フォームも非の打ち所がなく、欠点がない。あとは自信満々でやることだ」
最後に菅野に、「ちゃんと食えよ! 女に気をつけろよ!」といい残し、カネやんは去っていった。
撮影■山崎力夫
※週刊ポスト2013年3月1日号