ビジネス

【ドル円週間見通し】次期日銀総裁次第で異なるドル円レンジ

 投資情報会社・フィスコ(担当・山下政比呂氏)が、2月25日~3月1日のドル・円相場の見通しを解説する。

 * * *
 今週のドル・円は、次期日銀新体制人事での総裁と2名の副総裁の組み合わせにより、ドル・円相場の射程を見極める展開となる。

 3月1日は米国の歳出強制削減の発動期限となるが、オバマ米政権と共和党による妥協が予想されていること、複数のセーフガード措置があることで、打撃を受ける可能性は低いと楽観視されており、ネガティブ・サプライズに警戒する展開となる。

【次期日銀総裁人事】
 ハト派色が最も強い候補は岩田一政日本経済研究センター理事長で、ドル・円は95~100円に向けて上昇すると予想されている。しかしながら、岩田氏が主張している外債購入ファンドは、G-20からの批判を受ける可能性があり、安倍首相、麻生財務相も否定的であることから、ハト派色はやや弱まっている。

 黒田東彦アジア開発銀行(ADB)総裁の場合は、ドル・円は92~97円程度が予想されている。ハト派色が弱いとされる武藤敏夫大和総研理事長(前日銀副総裁・元財務次官)の場合は、ドル・円は90~95円程度と予想されている。

【イタリア総選挙と米国歳出強制削減】
 イタリア総選挙では、ベルサニ民主党党首とモンティ伊首相が勝利した場合はリスク選好となるものの、メルケル独首相が中道左派政権に対して難色を示していることが懸念材料となる。ベルルスコーニ伊前首相が勝利した場合は、イタリア国債の暴落によりリスク回避の円買い圧力が強まる。米国の歳出強制削減では、ネガティブ・サプライズによるリスク回避の円買いに警戒する展開となる。

【米国10-12月期国内総生産(GDP)】(28日)
 米国10-12月期の国内総生産(GDP)改定値は、貿易赤字の減少を受けて、速報値の前期比年率-0.1%から+0.5%程度へ上方修正されることが予想されている。予想通りに上方修正された場合は、ドル買い要因となるものの、ネガティブ・サプライズには要警戒か。

 2月25日~3月1日に発表される主要経済指標のポイントは次の通り。

○(米)2月消費者信頼感 -- 2月26日(火)日本時間27日午前0時発表
・予想は、61.2
 米国株式市場は2月以降、もみあいを続けている。株式の先高観は維持されているが、史上最高値は更新されていない。ただし、雇用情勢は回復基調にあり、住宅市況もおおむね順調さを保っている。2月ミシガン大消費者信頼感指数の速報値は改善しており、前月から上昇の可能性も。

○(米)1月耐久財受注 -- 2月27日(水)日本時間午後10時30分発表
・予想は、前月比-4.4%
 参考指標となる1月ISM製造業景況指数の内訳「新規受注DI」は53.3と12月49.7から拡大。1月の各地区連銀公表の製造業関連指標は、リッチモンド、カンザスシティ、NYは低下。ダラスは上昇。新規受注DIの上昇を考慮すると大幅な減少は考えられない。

○(米)10-12月期国内総生産改定値 -- 2月28日(木)日本時間午後10時30分発表
・予想は、前期比年率+0.5%
 10-12月期貿易赤字は、-1292億ドルと、前期の-1246億ドルから拡大しているが、12月の貿易赤字が減少していることから、前回(速報値)との比較である程度の改善が見込まれている。改定値は前期比年率でプラス成長となる見込み。

○(日)1月全国消費者物価指数 -- 3月1日(金)午前8時30分発表
・予想は、全体の数字が、前年比-0.2%、コア指数は-0.2%
 前月から横ばいの見通し。先行指標となる東京コアCPIは、1月が前年比-0.5%。円安の影響で物価下落率は鈍化する見込み。ただし、物価全体の上昇圧力は依然低調。

○(米)2月ISM製造業景況指数 -- 3月1日(金)日本時間2日午前0時発表
・予想は、52.4
 先行性のある同指標内訳の1月「新規受注DI」は53.3←12月49.7と上昇。既公表の2月の各地区連銀指数は、NYが上昇。他の地区連銀のいくつかも上昇が予想されていることから、市場コンセンサスを若干上回る可能性がある。

 主な予定は、26日(火):(米)1月新築住宅販売件数、(米)12月S&P/ケース・シラー住宅価格総合20、(米)12月住宅価格指数、27日(水)1月中古住宅販売仮契約、3月1日(金):(米)1月個人支出

【予想レンジ】
・ドル・円92円00銭~95円00銭

関連記事

トピックス

俳優の竹内涼真(左)の妹でタレントのたけうちほのか(右、どちらもHPより)
《竹内涼真の妹》たけうちほのか、バツイチ人気芸人との交際で激減していた「バラエティー出演」“彼氏トークNG”になった切実な理由
NEWSポストセブン
『岡田ゆい』名義で活動し脱税していた長嶋未久氏(Instagramより)
《あられもない姿で2億円荒稼ぎ》脱税で刑事告発された40歳女性コスプレイヤーは“過激配信のパイオニア” 大人向けグッズも使って連日配信
NEWSポストセブン
ご公務と日本赤十字社での仕事を両立されている愛子さま(2024年10月、東京・港区。撮影/JMPA)
愛子さまの新側近は外務省から出向した「国連とのパイプ役」 国連が皇室典範改正を勧告したタイミングで起用、不安解消のサポート役への期待
女性セブン
11月14日に弁護士を通じて勝田州彦・容疑者の最新の肉声を入手した
《公文教室の前で女児を物色した》岡山・兵庫連続女児刺殺犯「勝田州彦」が犯行当日の手口を詳細に告白【“獄中肉声”を独占入手】
週刊ポスト
チョン・ヘイン(左)と坂口健太郎(右)(写真/Getty Images)
【韓国スターの招聘に失敗】チョン・ヘインがTBS大作ドラマへの出演を辞退、企画自体が暗礁に乗り上げる危機 W主演内定の坂口健太郎も困惑
女性セブン
第2次石破内閣でデジタル兼内閣府政務官に就任した岸信千世政務官(時事通信フォト)
《入籍して激怒された》最強の世襲議員・岸信千世氏が「年上のバリキャリ美人妻」と極秘婚で地元後援会が「報告ない」と絶句
NEWSポストセブン
「●」について語った渡邊渚アナ
【大好評エッセイ連載第2回】元フジテレビ渡邊渚アナが明かす「恋も宇宙も一緒だな~と思ったりした出来事」
NEWSポストセブン
三笠宮妃百合子さま(時事通信フォト)
百合子さま逝去で“三笠宮家当主”をめぐる議論再燃か 喪主を務める彬子さまと母・信子さまと間には深い溝
女性セブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン