中国艦船からの火器管制レーダー照射事件で日中が激しい応酬を続けていた2月上旬、〈小野寺五典・防衛相の女性スキャンダルをかぎ回っている動きがある〉という情報が日本政府の情報当局を駆け巡った。情報当局がその情報源を辿っていくと中国の影が見えてきた。
情報当局が動いた小野寺氏の女性スキャンダル情報のもとになったとされる“怪文書”がある。
第1次安倍内閣時代の2007年参院選前、野党だった民主党と国民新党の幹部11人の事務所に送られたとされる文書だ。本誌は6年前に入手していた。
あくまで発信人不明の怪文書であり、個人名は伏せるが、そこには、小野寺氏の「愛人」として自民党の元女性秘書が名指しされ、2人が沖縄旅行に出かけた経緯が記載されている。
〈数年前の夏には、二人で沖縄旅行に出かけラグナガーデンホテルに宿泊をしている。レンタカーをレンタルし、バカンスを楽しもうとしたが、あいにく大型台風に遭遇し、残念ながら散々なバカンスだったろうが、二人の時間が持てたことは、満足であっただろう。是非この情報が確実であることを先生方にホテルに再確認していただきたい〉
これを知った小野寺夫人と義母が、当時彼女が秘書を務めていた谷垣禎一氏の事務所に抗議の手紙や電話を入れたという記述もある。当時を知る自民党のベテラン秘書はこう語る。
「彼女は色っぽい美人で、日本舞踊の名取でした。後援会で踊りを教えて評判もよかったそうです。小野寺先生は彼女を大事にして、彼が一度、公職選挙法違反で議員辞職した際(*注)、谷垣さんに預けたんです」
本誌はこの元秘書に話を聞こうとしたが、現在は海外に移住しており、「結婚後は政治とはきっぱり離れている。帰国したときは谷垣事務所に挨拶に行く程度」(家族の話)という。
それでは小野寺大臣はどう答えるのか。
まず事実関係について、「そのような噂が流布されていることについては把握しておりません。全くの事実無根であります」(小野寺事務所)
さらにこうした情報が中国と激しく対立するなかで流されたことについては、「背景について推定することはできませんが、厳しい国際情勢の折、全身全霊をもって防衛大臣としての職務を全うして参る所存です」と回答した。
【*注】小野寺氏は1997年衆院選に当選した際、選挙区内の有権者に線香セットを配ったことが公職選挙法違反に問われ、2000年に議員辞職している。
※週刊ポスト2013年3月8日号