3月2日開幕する第3回WBC。山本浩二監督は、現場を離れて7年というブランクのせいか、どうしても選手たちと密な関係性を築けずにいる。過去2大会を取材しているスポーツ紙記者はいう。
「合宿中も選手の奮起を促すような場面はなく、マスコミを通じて厳しい言葉を投げかけるようなこともしていない。マスコミが大人しかったのも報じるネタがないからなんです」
団結力を高めるために、チーム内に規律を設けるようなこともなかった。
「門限すらなく、選手たちは宿舎のホテル内ではほとんど食事をせず、それぞれが宮崎の夜に消えていきました。これでは先が思いやられます」(同)
昨秋の監督就任早々に、イチローをはじめメジャー戦士たちから参加を断わられ、国内組のみで3連覇に挑まざるを得ないのは酷な状況だ。しかし、選手と信頼を築くには時間も彼自身の言葉も足らなかった。第1回大会でイチローが「王(貞治)監督を男にする」と言ったような“熱い言葉”を発する選手は皆無である。
山本監督の側近たちもなんとも頼りない。 東尾修投手総合コーチは休息日の19日、宮崎を離れて東京で、娘・理子氏と石田純一氏との間に生まれた長男・理汰郎くんと共にベビーカーの発表会に出席。休日返上で調整に励む選手もいるのに、イベントに参加している暇はないだろう。
逆に熱心すぎる指導で選手を困惑させたのが、立浪和義打撃コーチだ。初日から中田翔を指導し、ボールを十分に引きつけてからバットを振り出す国際大会仕様の打法を伝授。が、それが裏目に出た。広島との練習試合で中田は3タコ。翌日も屋内練習場で30分間の指導を行なったが、紅白戦でも2打数無安打に終わった。 中田のフルスイングは鳴りを潜め、当てにいくバッティングに終始している。
「いろんな方にアドバイスをもらって、参考にはしていますけど……。(代表生き残りに向けて)アピールはまったくできませんでした」(中田)
※週刊ポスト2013年3月8日号