茨城出身、バツイチ独身の女性セブン名物記者・オバ記者。55才となった今、積極的に婚活を開始したオバ記者は人間関係について色々考えるところがあったようだ。以下は、そんなオバ記者の“婚活ノート”である。
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26年間のひとり暮らしと決別して結婚する。そう決めたら、日を追うごとに世の中が違って見えてきた。7年前から観劇友達になったMくん(48才)とは、年に数回会って、年に1~2回、口ゲンカをふっかけられる仲。
そのたび、ああ、この人もさびしいんだな。誰かにかまってほしいんだなとどこかで思っているから、口論はしても最後はまあまあ、なあなあ。なのに先日、とうとう、つまらないことで怒鳴り合いのケンカをしちまったのよ。
若者がポテチで安ビールをあおるようなパブで、「なんでそうやって感情的にしかモノゴトを見られないんですか!」と、Mくんが黒ビール半分で怒鳴れば、生ビール2杯目の私も「ああ、なら言わせてもらうけどさ」と応酬。
彼はよく道で警察に職質されると嘆いていたが、私には警官の気持ちがよくわかる。彼ほど危険で澄んだ目をしている男はめったにいまい。その目を、ますます研ぎ澄ませて、私に挑みかかってくる。それは決してキライな目ではないけど…いらない。男女の枠を超えた“男友達”を、今の私はいらないんだわ。
そう思ったとたん、体中にみなぎっていたファイトがしゅう~っとしぼみ、ちょっとおかしくなった。ハタからは中年の夫婦ゲンカか、年下男との痴話ゲンカに見えるかもと思うと、ますますオカシイ。
「あのさ。私たちって合わないと思わない?」
静かに言うと彼も「だと思いますよ」と、ややトーンを落として言う。
「合わないのにムリして会うことないよね。もうこれっきりにしない?」
「そうですね」
それから地下鉄に乗り、事務的な話をして乗り換えの駅で「じゃ」と短い挨拶をして別れた。それから最寄り駅の居酒屋にも立ち寄らず、まっすぐ家に帰ってお風呂に入って寝た。人生初のさわやかな人との別れだった。
※女性セブン2013年3月7日号