「シロアリ官僚」の象徴というべき存在が、彼らが住みつく公務員宿舎である。民間の数分の1の賃料で住むことができる官舎は、役人特権の代表格といえる。
その中でも、とんでもないのが、都心の一等地・千代田区の三番町(110戸)と四番町(113戸)にある合同宿舎だ。間取りは2DK~4DKで、周辺の不動産業者によると「賃料は4DKで月額40万円は下らない」という。この豪華宿舎は廃止指示を受けたにもかかわらず、震災を口実に「危機管理用宿舎」に指定することで、そっくりそのまま存続させることになったのである。
財務省国有財産調整課の担当者は、「東日本大震災や福島原発事故を受けて、内閣官房の防災担当職員の増員を検討しており、危機管理要員が入居することになっている」と説明するが、それが何名なのかを質すと「各省で議論中なのでわからない」という答えが返ってきた。
そればかりではない。「危機管理要員」という理屈によって、今後は「入居費無料」になるというのだ。「危機管理担当の職員は負担なしで入居している」(同前)と説明するが、これまでは4DKで月額約6万7000円を払わなければならなかった宿舎に“危機管理要員”として入居すれば「タダ」となるのである。
ちなみに同課の担当者は、「震災が起きて公務員住宅が被災したらすぐに新たな宿舎を探す必要があるため、私も入居資格があります」とのたまう。もうおわかりだろう。官僚が繰り返す危機管理とは、「霞が関の既得権を危機から守る」という意味なのである。
※週刊ポスト2013年3月8日号