政界どころか、自身の生まれ故郷にとっても“忘れてしまいたい”人になってしまったのかもしれない。
山口県では現在、2度目の安倍首相誕生を記念して、「安倍晋三内閣総理大臣御就任/山口県の総理大臣展」が開催されている(3月まで県内各地を巡回)。安倍首相の愛用品や、「主張する外交」などの活動記録、昭恵夫人のコーナーとともに、伊藤博文、桂太郎、岸信介、佐藤栄作ら、山口県出身の8人の総理の歴史と業績を映像やパネルで紹介する内容だ。
だが、そこには山口県出身である菅直人・元首相の名前が見当たらない。
「首相官邸のホームページには、『(歴代総理大臣の)出身地は原則として、戦前は〈出生地〉を、戦後は〈選挙区〉を記載』とある。それに従ったということです」(山口県総合政策部)
東京生まれ、東京育ちの安倍首相が“主役”で、山口生まれ、山口育ちの菅元首相が“除名”とはかわいそうな気もするが、菅氏に感想を聞くと、「特にコメントはありません」という素っ気ない回答だった。
実はこの展覧会、アベノミクスによる好景気を追い風にしてさぞ盛り上がっているかと思いきや、お祝いムードはすでに薄れている様子。2月11~16日に展示場所となっていた萩美術館では、「総理とツーショット」が撮れる安倍氏の等身大パネルもひとり寂しく佇んでいた。
「ロビーの一角で展示していますが、見ていくお客様は少ないです。写真を撮っている人は1時間にひと組くらい」(美術館関係者)
展覧会が大入り満員なら菅氏も悔しがったかもしれないが、閑古鳥なので胸をなで下ろしているのかな。
※週刊ポスト2013年3月8日号