2月23日、皇太子さまが53才の誕生日を迎えられたその直前、『新潮45』3月号に衝撃的な見出しが躍った。
<皇太子殿下、ご退位なさいませ>
これは宗教学者の山折哲雄氏が書いた論文のタイトル。山折氏は、小泉純一郎元首相(71才)時代に設けられた「皇室典範に関する有識者会議」のヒアリングで、実際に意見を述べたこともある人物だが、その山折氏が皇太子さまにご退位をすすめるという衝撃的な提言に大きな波紋が広がっている。
さらに同氏は、弟の秋篠宮さまに「譲位」してはどうかとも綴っている。
山折氏の主張に異を唱えるのは皇室ジャーナリストの神田秀一氏だ。
「皇太子さまが大病をなさっていたり、公務ができない状況であられれば、秋篠宮さまに皇位を譲位するということは法でも認められていますし、理解できます。しかし、いまは皇太子さまがご健在であり、そういった状況ではないなかで、無責任に“譲位”を語るのは疑問を感じずにはいられません」
皇室典範第3条には、こう規定されている。
<皇嗣(皇位継承第1位の者)に、精神若しくは身体の不治の重患があり、又は重大な事故があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従つて、皇位継承の順序を変えることができる>
神田氏は、この規定に一切触れずに“譲位”を語った山折氏を批判する。
「山折さんの主張は、現実的には憲法、そして皇室典範を改正した上でなければありえない話です。仮に改正するとしても、何年も時間を要しますし、女性宮家創設ですら簡単に頓挫するのに、ましてや皇位継承に触れる部分ですから、現実的に不可能なわけです」(神田氏)
さらに神田氏は、その憲法も簡単に改正してはいけないと主張し、こう提言した。
「憲法第1条には天皇が<日本国民統合の象徴>という記載がありますが、これは70年近い年月をかけて昭和天皇、そして陛下が確立してきたものです。これを守られてきたからこそ、戦争のない平和な時代を迎えたとも言えます。
そのことをいちばん理解されているのが陛下であり、即位礼正殿の儀で“憲法を守ります”と宣言されているのですから、いたずらに改正してはならないのです。結局、今回のような記事が出てしまうのは、雅子さまが皇太子妃としての役割を果たされていないことが原因だからでしょう。ですから、いま皇太子さまは雅子さまのご病気を全快させることに全力を尽くされるべきだと思います」
これまで雅子さまの治療を担当してきたのは東宮職医師団だ。しかし、最近では長引く療養生活に、“主治医以外のセカンドオピニオンの必要性があるのでは”という報道も多くなっている。また昨年、前皇室医務主管の金澤一郎氏が、雅子さまの主治医である大野裕氏の治療方針に疑問を投げかけたことも大きな話題を呼んだ。
そんななか、誕生日会見で、記者から“セカンドオピニオンを用いる考えはないのか”という質問が出たのだが、皇太子さまは、
「東宮職医師団がたいへんによくやってきていただいていますし、今のところセカンドオピニオンという考え方はございません」
ときっぱり述べられたのだった。これには神田氏も首を傾げる。
「これだけ雅子さまのご病気が長引いているわけですから、あらゆる手段を用いてでも、皇太子さまは雅子さまを全快させるべきです。それなのに東宮職医師団がよくやっているという理由だけで、セカンドオピニオンは必要ないというのは、国民が納得しません。正直、医師団は何の結果も残していないのですから。そこは皇太子さまに危機感を持っていただきたい」
※女性セブン2013年3月14日号