わずか15秒か30秒流れるだけなのに、なぜか頭の中でリピートしていたり、続きが気になったり…。そんな話題のCMの制作秘話から、最近の傾向などを雑誌『宣伝会議』編集長の谷口優さんに聞いた。
「まずCMソングですが、CM最大の目的は商品の認知。CMを見て、お店に行って、商品を買うまでに時間差があるので、商品名を覚えてもらわなければなりません。そこでCMソングを浸透させれば、商品名の入った歌を思わず口ずさんでしまう消費者も多く、とても効果的なのです」(谷口さん・以下同)
ドラマ仕立てのCMも目にする回数が増えている。
「そもそも15秒、30秒という時間内でゼロからメッセージを伝えるのは非常に難しい。そこでドラマで設定を身近に感じ、かつ覚えてもらった上で、シリーズで広告を打つと効率的にメッセージを伝えられます。CMはいかに目にとめてもらえるか、最初のひっかかりがとても大切。“あ、お父さん犬の新CMだ”というように、すでにその設定を理解してもらっていると、見てもらえる確率が高まります」
キャラクターを使ったり、意表をつく面白CMも多い。
「企業がCMにドラえもんや動物などのキャラクターを起用する大きな理由のひとつは“スキャンダルを起こさない”こと。打ち切りなどのリスクを軽減できます。また、人ではないため商品のターゲット層を限定させないという利点も。
テレビというのは何かしながら見る、“ながら見”が基本。CMソングのように歌や音声で聞かせるものもありますが、映像を介して目を引くものも必要です。必ずしも美男美女が出ているだけで注目を集められるわけではなく“何、今の?”といった衝撃や違和感を残すのも重要な要素。ナンセンスというか居心地の悪さみたいな作りも工夫のひとつです」
※女性セブン2013年3月14日号